

新居の階段をこれから決めていく予定で、できるだけ値段の安い階段にしたいと考えている方もいるのではないでしょうか。階段の値段は種類や形状、素材などによって異なります。
本記事では主に値段に着目して、階段の種類や形状についてみていきます。階段の値段を抑えるには、どのような種類・形状を選べば良いのか解説します。また、階段を選ぶ際は値段以外にどういった点を重視すれば良いかについてもまとめました。
更に、階段のリフォーム費用の目安や、リフォーム費用を抑える方法も解説しています。
本記事を読むことで、階段の設置費用を抑えるポイントが分かります。新居の階段を検討中の方や、階段の値段に興味がある方はぜひお読みください。
形状別、階段の値段について

写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
階段にはさまざまな形状があります。形状を4つに分類分けすると次のようになります。
- 直階段
- かね折れ階段
- 廻り階段
- らせん階段
階段は形状によって値段が変わるので、値段を重視したい方はまず各形状の特徴を理解しましょう。1つ1つの形状について詳しく解説していきます。
直階段
直階段は途中で折れ曲がることなく真っ直ぐ昇降する階段を指します。今回取り上げる4つの中でもっとも値段が安いのですが、その理由はシンプルな形状であるためです。シンプルがゆえに、設計、製造、施工の工数を減らすことができます。
ただし、住宅によっては直階段が最適とは限りません。まず、直階段は直線距離がないと導入が難しいです。新居の間取りとの相性を考える必要があります。
直線距離をある程度確保しないと、急な階段になってしまい、安全性が下がってしまいます。階段の角度(勾配)は35〜42度程度にするのが昇りやすいです。建築基準法上はもっと急な階段にすることも可能ですが、安全性を高めることも考えましょう。
直線距離を確保できるなら直階段はおすすめです。その他直階段には、大きな荷物を運びやすい、といったメリットもあります。
かね折れ階段
かね折れ階段は途中で90度折れ曲がる階段を指します。直階段よりも値段は上がってしまいますが、どのような間取りの住宅にも導入しやすいのがメリットです。かね折れ階段の場合、住宅の隅に沿って配置することもできるため、スペースを有効活用できます。
また、折れ曲がる分、段数を増やすことができれば、勾配が緩やかになります。更に、足を踏み外しても曲がる部分で止まることができるため、大怪我を避けられる可能性があります。
加えて、両側に壁がない階段の場合、視界の変化を楽しむことができるメリットもあります。
廻り階段
廻り階段は途中で90度に2回折れ曲がる階段を指します。折れ曲がる部分は、大きな1枚の踊り場にすることも可能で、その場合は折返し階段と呼ばれることもあります。
2回も曲がる分、構造が複雑になるので、費用は更に高くなってしまいます。折り返し階段の場合、踊り場で休憩することも可能なため、階段を一気に昇るのがきつい高齢者も使いやすいです。
デメリットは、ベッドやソファなどの大きな家具の搬入が難しい点です。搬入できない場合、ベランダや窓から吊り上げて運ぶ必要があり、その費用も上乗せされてしまいます。
らせん階段
らせん階段はらせん状に旋回しながら昇る階段を指します。対応できる会社が少なく、費用はメーカーによって振れ幅が大きい点に注意しましょう。
とはいえ、曲線美の美しさやモデルを連想させるような縦長のデザインに惹かれる方は多くいます。デザイン性を重視したいなららせん階段もおすすめです。
また、らせん階段は踊り場を設ける必要がなく、比較的省スペースに設置できる点も特徴です。また、360度の視界の変化を楽しむことができます。
多少費用がかかっても、デザイン面で満足できれば「らせん階段にして良かった」と思えるかもしれません。デメリットを挙げるとするなら、大型家具の搬入がやはり難しい点と、階段の中心部は段板が狭くなるので踏み外さないように気をつけないといけない点です。
蹴込み板の有無別、階段の値段について

写真(左):カツデン/シースルー階段「ObjeA」
写真(右):スキスムS階段
ネット出典:EIDAI
階段は、構造体(ささら桁)、段板、手すり、蹴込み板の4つで構成されていることが多いですが、蹴込み板のない「シースルー階段」というジャンルも存在します。蹴込みとは、段板と段板を繋ぐ垂直部分のことです。蹴込み板の有無によって階段は次の2つに分けることができます。
- 箱階段
- シースルー階段
蹴込み板があるかどうかは、階段の値段にも関わってきます。各階段の特徴について詳しく解説していきます。
箱階段
箱階段は箱を段々に積み重ねたように見える階段を指します。蹴込み板が存在し、階段の下が見えないようになっているのが特徴です。階段の下はトイレや収納にすることが多いです。
箱階段は値段が安いのが特徴であり、日本の住宅に多く導入されています。
シースルー階段
別名で、スケルトン階段、オープン階段、ストリップ階段とも呼ばれ、蹴込み板が取り払われている階段を指します。蹴込み板がないことで、採光性、開放感を高めることが可能です。シースルー階段はリビングに設置することが多いです。視覚効果でリビングを広く見せる効果があります。
蹴込み板がなくても十分な強度を保つ必要があるため、箱階段よりも値段は高くなってしまうことが多いです。シースルー階段を選ぶ人はデザインにこだわる人が多いので、結果的に費用が高くなってしまうこともあります。
階段を購入する際は値段だけに着目しないこと

写真:カツデン/立体トラス階段「DEROUS」
階段を購入する際は値段だけに着目しないことも大切です。値段だけで決めてしまうと、後で不満点や使いにくい点が多く出てきてしまい、結局リフォームすることになって余計にお金がかかってしまうこともあります。
また、壁や床などの一部を解体しないといけなくなってしまうため、階段だけを交換することは難しく、施工業者や建物の状況によっては対応不可とされてしまう可能性も…。
階段を購入する際は次の3つの項目も重視することをおすすめします。
- デザイン性
- 安全性
- 機能性
もちろんこれら3つの面を全て満足いくようにすると、今度は値段が高くなってしまいますのでバランスを取ることが大切です。1つ1つの確認項目について詳しく解説していきます。
デザイン性
階段はデザイン性にこだわることも重要です。理想のデザインを実現できるなら、多少値段が上がったとしても設置後の満足度が高まります。また、安い製品は仕上げが甘かったり塗装が雑だったりしてデザイン性が低い場合もあるので、値段だけを見ないことが大切です。
特にリビング階段にする場合、階段が動線の中心に来ることが多く、毎日頻繁に目にすることになります。
階段メーカーのデザイン性のレベルに関しては、メーカーの口コミや施工事例をチェックしてみるのが良いです。もちろん、ショールームや住宅展示場で実物を見るに越したことはないので、可能であれば決定する前に見ておきましょう。
安全性
階段からの転倒は大怪我に繋がりますので、安全性を高めることも大切です。建築基準法に基づいて作れば最低限の安全性は保たれますが、あくまで最低限です。特に子どもや高齢者が家族にいるなら、彼らにとっても使いやすい階段にしたいです。
たとえば、階段の勾配を緩やかにして段数が増えると費用は高くなってしまいますが、安全性は高くなります。また、段板を滑りにくい素材・塗装にしたり、階段の幅を広げて子どもと並んで昇り降りできるようにしたりするのもおすすめです。
機能性
階段の機能性も重視したいです。その階段を設置することで「生活がどのように変わるか」を知っておくことが大切です。
たとえば、シースルー階段は採光性や開放感に優れており、リビングに設置すれば居心地を高めることが可能です。家族もリビングに集まりやすくなり、コミュニケーションが増える効果も期待できます。
対して箱階段は、階段下収納を作ることも可能です。外に出すと生活感が出てしまう掃除用品などの収納容量を大きくしたい場合におすすめです。
階段の値段や設置費用を抑えるポイント

写真:カツデン/シースルー階段「FRIS」
階段の値段や設置費用を抑えるポイントについて解説します。ポイントは次の3つです。
- フルオーダーよりもセミオーダーを選ぶ
- 階段の素材の組み合わせを検討する
- 目的に合った製品・オプションを選択する
これらのポイントを抑えることで、値段を抑えつつデザイン性や機能性も満足いくようにすることが可能です。1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。
フルオーダーよりもセミオーダーを選ぶ
フルオーダーよりもセミオーダーの方が値段は抑えられます。フルオーダーは完全に0から階段を作ることを指します。対してセミオーダーは、予め決められたスタイルから要所要所をカスタマイズしていくことを指します。
0から作る分フルオーダーの方が値段が高くなります。もちろん自由度はフルオーダーの方が上ですが、セミオーダーでもそれなりに柔軟な対応が可能です。階段の幅や形状などを住宅の間取りに合わせて調整できます。また、メーカーによっては、階段のカラーや手すりのデザイン、段板の素材なども変更できる場合があります。
どうしても譲れない条件がある場合を除き、セミオーダーがおすすめです。
階段の素材の組み合わせを検討する
階段は素材によっても料金が変わります。室内階段の素材として多く使われるのは、木とスチールです。アルミやステンレスも使われることがありますが、どちらかといえば屋外階段やサブ階段向けです。
木とスチールでは木の方が値段が安いです。スチールは木の4〜5倍程度の値段がします。階段の骨組みや段板、手すりをすべて木で作れば、安くすることが可能です。
ただ、スチールにはデザイン性をはじめとした多くの魅力があります。全部をスチールにすると高くなってしまいますが、たとえば最初の8段分をスチールに、残りを木にすれば、コストを抑えることができます。
たとえば、手すりだけスチールにすることも可能です。スチールの手すりは木の階段にもよくマッチします。
目的に合った製品・オプションを選択する
階段は目的に合ったものを選択することが大切です。たとえばシースルー階段を導入する場合、「なぜシースルーが良いのか」を考える必要があります。目的を達成できるなら、ある程度値段が高くなっても設置後に後悔することがなくなります。
また、セミオーダータイプの製品の場合、オプションを付けられる場合もありますが、オプションをたくさん追加すると費用が嵩んでしまいます。自分たち家族にとって、何がもっとも重要で譲れないのか?をきちんと考え、優先順位をはっきりさせた上で決めることが大切です。
そこが曖昧なまま、「値段が安い方がいい」「安全性は大事」など安易に進めてしまうと、どちらも満たされず中途半端になってしまうことが多いので注意しましょう。
カツデンの階段の値段はどのくらい?

写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
カツデンではObjeAというシースルー階段がもっとも人気の商品です。ObjeAはシンプルで無駄のないデザインであり、採光性・開放感に優れているのが特徴です。リビングに置く階段として最適なものとなっています。
そんなObjeAですが、製品代は120万円〜(税込、配送施工費別途)が基本費用です。
ObjeAはささら桁のデザインを7種類から選ぶことが可能です。デザインによって費用は異なります。シンプルなセミクローズタイプがもっとも安くなっています。
カツデン製品の図面・価格表については、以下のページからダウンロードすることが可能です。ダウンロードするには会員登録が必要になります。
「図面・価格表ダウンロード」>>
カツデンの製品は極力値段を抑えつつも、デザイン性・安全性・機能性が高水準なのが特徴です。こだわり抜いた仕上げと塗装を施しており、リビングのインテリアのレベルを高めてくれます。また、手すりに横桟やワイヤー、縦格子を付けることもでき、横からの転落を防止することができます。
カラーバリエーションは10種類もあるため、リビングの雰囲気に合わせられます。また
、段板のカラー、表面処理は6種類から、手すりも6種類から選ぶことができます。値段を安くしたいなら、段板を木製にし、手すりをプレーンのものにすると良いです。
階段のリフォーム費用はどのくらい?
続いて、1から階段を設置する場合ではなく、既存の階段をリフォームする場合の費用を解説します。階段のリフォーム費用は、階段のどこに手を加えるかで大きく変わります。
あくまで目安ですが、階段の代表的なリフォームの費用相場についてまとめました。
- 滑り止めシートを貼り付ける:1〜2万円
- 手すりを設置する:5〜20万円
- 階段の壁:天井の張替え:5〜15万円
- 階段の部材の貼り付け:10〜20万円
- 階段の勾配を緩くする:25〜40万円
- 階段用昇降機の設置:50〜120万円
参考:【SUUMO】階段のリフォーム費用・価格相場情報
参考:階段のリフォーム 費用・相場 | いくらで何ができる? – 価格.com
ただし、実際のリフォーム費用は、使用する素材やリフォームする面積の広さなどによっても変わります。たとえば、手すりを設置する場合、素材を木にするよりもスチールにする方が、リフォーム費用は多くかかります。
詳細な費用に関しては、リフォーム業者などに見積もりを依頼することで分かりますので、実際に依頼してみることをおすすめします。
階段のリフォーム費用を抑えるポイント
階段のリフォーム費用を抑えるポイントは次の2つです。
- 補助金制度などを活用できないか検討する
- 複数の業者の見積もり額を比較する
ひとつひとつのポイントについて詳しくみていきましょう。
補助金制度などを活用できないか検討する
階段の安全性を高めるためにリフォームする場合、場合によっては補助金制度を活用できる場合があります。たとえば、40歳以上の方が加入している介護保険制度には補助金制度があり、手すりの設置などの住宅改修を行う場合、費用の9割が支給されることがあります。
補助金制度の対象となるのは、要介護者に該当する方などですが、活用できるなら手すりの設置費用を大幅に抑えられます。
また、自治体によっては独自に助成金・補助金制度を設けている場合もあります。このような制度を活用できないか確認してみましょう。
参考:介護保険における住宅改修
複数の業者の見積もり額を比較する
多少手間はかかりますが、費用を抑えたいなら複数の業者に見積もりを依頼するのも手です。1社だけに見積もりを依頼しても、それが適切な価格か分からないことが多いです。複数社に見積もりを依頼すれば、適正価格がいくらなのかが見えてきます。
また、リフォーム業者の一覧を調べられるサイトもあります。リフォーム条件や要望を入力すれば、それに合ったリフォーム会社をピックアップしてくれます。このようなサイトを活用し、リフォーム業者を効率よく見つけて、見積もりを依頼していくのもおすすめです。
階段の設置・リフォームに関するよくある質問
最後に、階段の設置・リフォームに関するよくある質問をまとめました。階段の設置・リフォームについて不安点のある方は参考にしてください。
Q.階段のリフォームはDIYでも可能ですか?
階段に滑り止めシートを貼り付けるなど、簡単なリフォームなら自分で行うこともできますが、基本的にはプロに任せることをおすすめします。
必要な工具などを揃えるだけでも大変ですし、階段のDIYは怪我のリスクも高いです。転倒してしまうことがないように、安全に配慮して行わなくてはいけません。
また、自分で行うと階段の安全性が下がってしまう恐れもあります。たとえば、手すりを設置したがしっかり固定できておらず、転倒時に掴まったときに外れてしまう、などです。
階段の安全性を高めるためにも、リフォームはプロに依頼しましょう。
Q.高齢者が安全に使える階段にするポイントは何ですか?
高齢者が安全に使える階段にするには、手すりの設置がまず重要です。なぜなら、現在の建築基準法では手すりの設置が義務付けられているためです。手すりがない場合、現行の安全基準を満たしていないということになってしまいます。
建築基準法には「階段の少なくとも片側には手すりが必要」「手すりがない側には壁が必要」と記載されています。安全性をより高めるなら、両側に手すりを設ける手もあります。
その他、階段の段板を滑りにくくするために滑り止めシートを貼ったり、階段の勾配を緩やかにしたりするのも、安全性を高めることに繋がります。また、階段の昇り降りが厳しいという場合は、昇降機の設置を検討するのも手です。
Q.既製品の階段を選ぶことで設置費用を抑えられますか?
既製品とは、デザインや色、形状などがあらかじめ決められている製品を指します。規格が決まっている既製品は大量生産しやすく、安価で提供できるのがメリットです。
しかし階段の場合、既製品の厳密な定義に該当する階段を扱う業者はほぼありません。階段は設置場所に合わせて形状やサイズを調整する必要があります。
設置費用を抑えたいなら、あらかじめ決められたスタイルから要所要所をカスタマイズできる、セミオーダータイプの階段を選ぶのがおすすめです。セミオーダーでもある程度デザインや形状などは決まっているため、費用を抑えることができます。
まとめ
本記事では階段の値段について解説しました。形状や蹴込み板の有無によって階段の値段は変わることがお分かりいただけたかと思います。
階段は値段だけでなく、デザイン性・安全性・機能性の3つも重視することが大切です。値段を抑えつつ、3つを損なわないようにするには今回解説したポイントを意識しましょう。
どうしても譲れないこだわりがある場合を除き、フルオーダーよりもセミオーダーを選択することをおすすめします。また、階段は素材によっても値段が変わるので、階段のどのパーツをスチール、あるいは木にするかを考えることも大切です。
階段をリフォームする場合は、介護保険制度や各自治体の制度などを活用できないか調べてみることが大切です。リフォーム費用は、改修箇所や条件などによって大きく変わる場合もあるので、リフォーム会社に実際に見積もりを依頼してみることをおすすめします。















