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2025.10.11 コラム

階段滑り止めの種類とは?メリット・デメリットや転倒を防ぐための対策法

この記事の監修

インテリアコーディネーター/二級建築施工管理技士 池本 華絵
インテリアコーディネーター/二級建築施工管理技士池本 華絵

階段に塗料やワックスを塗ったりテープを貼ったりすることを検討しているものの、逆に危なくなるなどの意見を聞き、迷っている方もいるのではないでしょうか。

本記事では階段滑り止めの種類について解説します。また、滑り止めを導入するメリット・デメリットや転倒を防ぐための他の安全対策についてもまとめました。

本記事を読むことで、階段滑り止めを導入すべきか判断できるようになります。階段滑り止めの導入を検討しているという方はぜひお読みください。

階段滑り止めとは?代表的な種類


写真:室内用階段すべり止め
ネット出典:ゴムクッション本舗

階段を滑りにくくするために使うものを、ここでは「階段滑り止め」と呼びます。

階段滑り止めには大きく分けて、次の4種類があります。

  • 塗料
  • ワックス
  • テープ
  • マット

塗料・ワックスは階段に塗るもの、テープは貼るもの、マットは敷くものです。それぞれ形態は異なりますが、階段を滑りにくくするという目的は共通しています。

ひとつひとつの種類について詳しく見ていきましょう。

塗料

塗料を階段の表面に塗ることで、摩擦抵抗を大きくすることができ、滑りにくくなります。刷毛やスプレーで塗る方法があります。

一段ずつ丁寧に塗っていく必要があるので手間はかかります。また、綺麗に塗るのは難易度が少し高いです。段板(足を乗せる板)の側面にたれ跡が付いてしまわないように、側面をしっかり拭く、といったことも状況に応じて必要になります。

ただ、綺麗に塗ることができれば、階段のデザイン性を損なうことはありません。

ワックス

ワックスは階段の傷や汚れを防止できるのに加えて、滑り止めの効果も発揮します。塗料に比べるとムラなく塗りやすいのが特徴です。

ただし、ワックスが不要なところにまで付着してしまうトラブルには注意が必要です。一段ずつ気を付けて塗っていく必要があるので、やはり手間はかかります。

テープ

滑り止めテープを階段に貼るという方法もあります。

階段用テープの中には、昇降時に必ず踏む段鼻部分(画像参照)に貼るものもあれば、段板全体に貼るものもあります。

テープを貼るだけなので、塗料やワックスを塗るより手間がかかりません。また、後述するマットを敷く方法と違って、ズレることがないのもメリットです。

ただし、テープを貼ると階段の見た目が悪くなってしまいます。透明なテープなら目立ちにくいですが、それでもデザイン性は下がってしまいます。

また、剥がすときに跡が残ってしまう可能性があります。特に賃貸の場合、退去時に跡が残っていると修繕費用を請求される恐れがあるので、賃貸で使うなら綺麗に剥がせるかどうかを確認しましょう。

マット

階段にマットを敷くという方法もあります。

ただ敷くだけなのでテープを貼るよりも更に簡単です。また、テープと違って厚みがあるため、階段に傷が付くのを防ぎやすいのもメリットと言えます。

製品にもよりますが、厚いので防音効果が期待できる場合もあります。

ただしマットを敷くと当然、階段の見た目は大きく変わります。階段のデザイン性が大きく損なわれてしまう恐れがあります。

階段滑り止めを導入するメリット


写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」

階段に塗料やワックスを塗ったり、テープを貼ったり、マットを敷いたりすることのメリットを解説します。

階段滑り止めを導入するメリットは次の3つです。

  • 転倒リスクを下げられる
  • 階段を傷から保護する
  • 防音機能がある製品もある

ひとつひとつのメリットについて詳しくみていきましょう。

転倒リスクを下げられる

滑り止めを導入することで、階段で転倒するリスクを下げられます。急いで昇り降りしたり、靴下が濡れていたりすると、滑って転倒する恐れがあります。また、高齢者の方は足腰や手すりを握る力が弱くなっていることもあり、階段で転倒するリスクが高くなります。

階段は住宅の中でも事故が起こりやすい場所です。「健康長寿ネット」によると住宅内の事故のうち65歳以上の事故が多く発生した場所は、居室が45.0%で最も多く、次いで階段が18.7%となっています。階段での事故を防ぐためにも、滑り止めの導入は重要です。

参考:高齢者の住宅内の事故 | 健康長寿ネット

階段を傷から保護する

滑り止めは、階段を摩擦や傷から保護する役割も担います。階段は長年使い続けると、摩擦によって傷が付くことがあります。また、階段に物を落としてしまうこともあります。

階段を部分的に保護できるタイプの滑り止めを設置すれば、傷が付くことを防ぎ、綺麗な状態を維持しやすくなります。結果、階段の修繕費用も抑えることが可能です。

防音機能がある製品もある

マットタイプの階段滑り止めの中には、防音機能が付いているものもあります。

階段を昇り降りする音が寝室まで響いて、夜中に目を覚ましてしまうということはよくあります。特に夜行性である猫を飼っている場合、猫が夜中に階段を走る音がうるさくて眠れないといったことがあります。

防音機能が付いたマットを設置すれば、ある程度までは音を抑えられるので、夜中に目を覚ましてしまう心配が少なくなります。

階段滑り止めを導入するデメリット


写真:マイスト 階段すべり止めテープ 14枚入
ネット出典:ハンズネットストア

続いて、階段滑り止めを導入するデメリットについて解説します。デメリットは次の3つです。

  • 逆に危ない場合もある
  • メンテナンスや張替えが必要
  • 汚れが溜まりやすいこともある
  • 滑りにくくなりすぎる可能性がある

ひとつひとつのデメリットについて詳しく解説します。

逆に危ない場合もある

マットを敷いた結果、逆に階段で転倒するリスクが高くなってしまうこともあります。

マットの種類によっては、質が悪くてズレやすいということがあります。ズレやすいと滑り止めごと滑って転倒してしまう可能性があります。

また、厚みがありすぎるマットも要注意です。厚みがあると、足が引っかかりやすくなり、転倒してしまうリスクが高くなる恐れがあります。

メンテナンスや張替えが必要

階段滑り止めは定期的なメンテナンスや張替えが必要です。長く使っていると、塗料やワックスが剥がれたり、テープがボロボロになったりすることがあります。テープの一部が剥がれている状態だと、そこに足が引っかかって転倒してしまう可能性があります。

階段の安全性を保つためには、滑り止めが剥がれていたりボロボロになっていたりしないかチェックし、定期的に塗り直し・貼り直しを行うことも必要になります。

汚れが溜まりやすいこともある

マットの種類によっては、表面が細かい繊維状になっており、汚れが溜まりやすい場合もあります。掃除を怠ると汚くなり、快適に階段を使えなくなってしまいます。

また、ペットを飼っている場合、ペットの毛が滑り止めに絡みついてしまうこともあり、より掃除が大変になる場合があります。

滑りにくくなりすぎる可能性がある

塗料やワックスなどを塗ったばかりのときは特に、今までと感覚が異なり、上り下りするときの勢いに足が追いつかず、前につんのめって転んでしまう可能性があります。

そのため、急に摩擦係数の高すぎるものは選択するのは危険であることを認識しましょう。

カツデンでは、滑り抵抗係数(CSR値、摩擦係数とも言う)は、0.38程度を安全上適切であるとしており、これを目安として対策を行うことがおすすめです。

階段滑り止めは何がいい?


写真:洗える吸着階段マット 15枚入り(BE)
ネット出典:ニトリ

続いて、階段滑り止めの選び方について解説します。階段滑り止めを購入する際は次の3つの観点から選ぶことをおすすめします。

  • 安全面
  • デザイン面
  • 機能面

ひとつひとつの確認項目について詳しく解説します。

安全面

階段滑り止めは安全面を重視して選ぶことがやはり大切です。安いテープやマットだと、使っていてすぐに剥がれてしまったりズレてしまったりする恐れがあります。値段だけでなく安全面に優れた製品を選ぶようにしましょう。

また、マットを敷く場合、厚みが適正かどうかも大切です。マットの厚みがありすぎると、足を引っかけて転倒してしまう恐れがあります。また、厚みがあると、足を以前よりも少し高く持ち上げる必要があるので、感覚がズレてしまって転倒する可能性もあります。

デザイン面

滑り止めの種類によっては、階段のデザイン性が大きく損なわれてしまう恐れがあります。

テープを貼ったりマットを敷いたりする方法は手軽な反面、階段の美しさが失われてしまう可能性がある点には注意が必要です。

一方で、塗料を塗る方法は手間はかかりますが、綺麗に塗ればデザイン性は下がりません。

機能面

階段にマットを敷く場合は、以下の機能を備えているか確認しましょう。

  • 防音性能に優れているか
  • 蓄光機能が付いているか
  • 洗濯機で丸洗いできるかどうか

防音性能に優れたマットなら、夜中に階段を昇る音で目を覚ます心配が少ないです。蓄光機能が付いているマットは段板が見えやすくなり、踏み外しのリスクを減らせます。

洗濯機で丸洗いできるマットなら、衛生的に使えます。マットは人やペットの足裏の汚れが多く付着し、雑菌が繁殖することもあるので、丸洗いできるものがおすすめです。

階段滑り止め以外の転倒を防ぐための対策法


写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」

場合によっては、階段を滑りにくくする以外の転倒対策を行った方が良い場合もあります。階段を滑りにくくする以外の転倒を防ぐための対策法として、次の3つを紹介します。

  • 手すりを設置する
  • 段板を張り替える
  • 階段昇降機を設置する

ひとつひとつの対策法について詳しくみていきましょう。

手すりを設置する

階段での転倒を防ぐには、手すりを設置することが大切です。手すりがあれば、足を踏み外したときにも、とっさに掴まることができます。また、高齢者の場合は、手すりに掴まった方が階段の昇り降りが楽になります。

現行の建築基準法では、階段には必ず手すりを付ける必要があるとされています。建築基準法には、「階段の少なくとも片方には手すりが必要」「階段の壁がない側には必ず手すりが必要」と記載されています。

ただし、この基準が追加されたのは平成12年以降であり、それ以前に建築された住宅の階段には手すりがないことも多いです。手すりがないと現行の安全基準を満たしていないわけなので、特に高齢者の方がいる場合は、リフォームで設置することをおすすめします。

段板を張り替える

階段の段板自体を張り替えるのもおすすめです。段板の張り替えはリフォーム会社に依頼できます。使用年数が長いと滑り止めはどうしても劣化してしまいますが、段板自体を張り替えれば安全性を長く保つことができます。

たとえば、段板を滑りにくい素材に変更すれば、安全性が高まります。

段板の滑りにくさの目安は、滑り抵抗係数(CSR値)が0.38程度であることです。カツデンでも、段板の滑り抵抗係数の基準を0.38程度と定めています。

滑り抵抗係数がこれよりも低すぎると、滑って転倒するリスクが高まります。逆に高すぎると、昇り降りの際につっかかりが生じて、つまずいてしまう可能性が高くなります。

階段昇降機を設置する

家族に足腰が弱くて階段を昇るのが大変な方がいる場合や、介助の負担が大きいという場合は、階段昇降機を設置する手もあります。階段昇降機は階段を昇り降りするためのリフトであり、壁にレールを取り付けることで、レールの上を椅子が移動するようになっています。

階段昇降機があれば、楽に上の階と下の階を行き来できます。足腰が弱い方は生活の自由度が上がります。介助の負担も減らすことができます。

ただし、階段昇降機は階段の幅が狭いと設置が難しい場合があります。階段昇降機は折りたたんだ状態でも25cm〜30cmもあるので、幅が狭いと階段が使いにくくなります。階段幅が100cm以上あるなら、階段昇降機を設置しても幅に余裕が持てる場合が多いです。

まとめ

本記事では階段滑り止めの種類やメリット・デメリットについて解説しました。

階段を滑りにくくする方法としては、塗料やワックスを塗る、テープを貼る、マットを敷くといった方法が挙げられます。

長く使っていくと塗料・ワックスが剥がれたりテープがボロボロになったりする点には注意が必要です。定期的に塗り直し・貼り直しを行うことも必要になります。

また、マットによっては、ズレやすかったり、厚みがありすぎて足が引っかかりやすかったりする可能性もあります。このようなマットだと、設置した結果逆に危なくなってしまう恐れもあるので、製品選びはきちんと行いましょう。

階段を滑りにくくするだけでなく、手すりを設置するなどの安全対策を行うことが大切です。階段の昇り降り自体が辛いという家族がいるなら、昇降機の設置も検討しましょう。

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