

新居に設置する階段を決めなくてはいけないものの、階段の種類が多すぎてどれにすれば良いか分からない、という方もいるのではないでしょうか。そのような方はまず、一般住宅に設置される階段の種類を整理することが大切です。
本記事では階段の選び方について解説します。階段の形状や蹴込み板の有無、手すり、素材など、各要素ごとに選ぶポイントをまとめました。
本記事を読むことで、新居に設置する階段をどうするか検討できます。階段の選び方について詳しく知りたいという方はぜひお読みください。
階段の形状の選び方

写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
まず、階段の形状の種類について解説します。
一般住宅に設置される階段は次の形状が多いです。
- 直階段
- かね折れ階段
- 廻り階段
- らせん階段
階段の形状は重要で、利便性や安全性にも大きく関わってきます。まずは形状をどうするかを決めることが大切です。
ひとつひとつ形状の特徴について詳しくみていきましょう。
直階段
直階段は途中で曲がることなく、まっすぐに昇降する階段を指します。シンプルな見た目なのが特徴です。構造が単純なため設置費用を抑えられます。ただし、建築基準法上、階高が4m以上ある場合は、4mごとに踊り場を設ける必要があります。
直階段は荷物を持ったままでも昇り降りしやすいのもメリットです。
デメリットは足を踏み外した際に、一番下まで落下するリスクがあることです。また、直線距離が必要なため、住宅の間取りによっては設置が難しいこともあります。
かね折れ階段
かね折れ階段は途中で90度折れ曲がる階段を指します。折れ曲がる部分には踊り場が設けられます。住宅の壁に沿って設置できるので、間取りによらず設置しやすいのが特徴です。
かね折れ階段は途中で折れ曲がるため、足を踏み外しても一番下まで落下するリスクが低いのがメリットです。また、両側に壁がないオープンな階段であれば、折れ曲がることで視界の変化を楽しむことができます。
デメリットは構造が複雑になる分、直階段に比べれば少し設置費用が高くなる点です。
廻り階段
廻り階段は途中で90度に2回折れ曲がる階段を指します。折れ曲がる部分は、1枚の踊り場にすることもあります。1枚の踊り場にする場合は、折返し階段と呼ばれます。
廻り階段のメリットは安全性が高いことです。2回も折れ曲がることによって、足を踏み外した際にも1番下まで落下する心配がありません。
また、構造が複雑なので、設置費用がかね折れ階段よりも更に高くなってしまいます。
らせん階段
らせん階段はくるくると回りながら昇降する階段を指します。屋外の非常用階段として設置されている場合もありますが、屋内に設置されることもあります。
らせん階段のメリットは、見た目の美しさです。モデルを思わせるような縦にスラッとした形状に惹かれる方は多くいます。また、省スペースに設置できるのもメリットです。
デメリットは荷物を持ったまま昇降しにくいことです。また、らせん階段の段板(足を乗せる板)は支柱に向かって面積が狭くなります。段板の内側と外側で面積に差があるため、踏み外さないように気をつけないといけません。
加えて、対応できる会社が限られ、メーカーによって金額差が大きくなりやすいのもデメリットです。
階段の蹴込み板があるかないかの選び方

写真:カツデン/シースルー階段「FRIS」
階段は骨組みと段板(足を乗せる板)から構成されるのが基本ですが、階段の種類によっては、段板と段板を繋げる蹴込み板が存在する場合があります。
蹴込み板がある階段は箱階段、ない階段はシースルー階段と一般的には呼ばれます。
蹴込み板があるかないかで、階段の印象が大きく変わります。箱階段とシースルー階段の特徴やメリット・デメリットについてみていきましょう。
箱階段
箱階段は一般的には蹴込み板がある階段を指します。段差が箱のように見えることからそう名付けられています。日本の一般住宅に古くから取り入れられているタイプです。
箱階段のメリットはシースルー階段に比べると低コストで設置できることです。また、階段下は収納スペースとして活用できます。
デメリットは開放感に欠ける点です。また、一般住宅に古くから取り入れられているタイプであるため、オリジナリティを出しづらいのもデメリットと言えます。
シースルー階段
シースルー階段は一般的には蹴込み板がない階段を指します。骨組みと段板のみで構成されており、シンプルで無駄のない見た目が特徴です。
シースルー階段のメリットは開放感の高さにあります。蹴込み板が視線を遮ることがなく、階段設置による圧迫感を抑えることが可能です。また、階段が窓からの日差しを遮ることもありませんし、空気の流れも遮断しないので風通しが良くなります。
シースルー階段はリビングに設置する階段として人気が高いです。リビングに箱階段ではなくシースルー階段を設置すれば、開放感が高まります。
デメリットは蹴込み板がなくても十分な強度を保つ必要があるため、費用が高くなってしまう点です。また、階段下を収納スペースとして活用することはできません。
階段の手すりの選び方

写真:カツデン/階段手すり
階段の安全性を高めるうえで手すりは重要です。足を踏み外した際にとっさに手すりに掴まることで、大怪我を防げる可能性があります。両側に壁がない階段の場合、手すりは横からの落下を防ぐ役割も担っています。
また、足腰が弱い方の場合、手すりに掴まった方が昇るのが楽になります。
階段の手すりは、階段の上に取り付ける場合と、両側の壁に取り付ける場合があります。それぞれの場合で、どのような手すりを選んだら良いのか、みていきましょう。
階段に取り付ける
左右に壁がない場合は、階段に直接手すりを取り付ける必要があります。
建築基準法では、階段の壁がない側には手すりが必要と記載されています。階段の横からの落下を防ぐためにも手すりは必要です。
階段に取り付けるタイプの手すりにはシンプルなタイプもありますし、横桟やワイヤーが付いているタイプもあります。横桟やワイヤーが付いていると、手すりに手が届かない子どもが掴まることができ、子どもが安全に階段を使えるようになります。
また、ガラスパネルが付いている手すりもあります。ガラスパネルが付いていると、手すりの隙間から落下してしまうのを防げます。
壁に取り付ける
左右に壁がある場合は、手すりを壁に取り付けることが可能です。
建築基準法では、両側に壁がある場合であっても、どちらか一方には手すりが必要と記載されています。壁だと手すりと違って、足を踏み外した際にとっさに掴まることができないので、安全性を高めるには手すりが必要です。
壁に取り付けるタイプの手すりは、フラットバータイプと丸棒タイプの2種類が多いです。フラットバータイプはデザイン性の高さと体重をかけやすいこと、丸棒タイプはどの角度からも強く握りやすいことがメリットです。
また、カツデンでは楕円タイプの手すりも提供しています。楕円タイプはフラットバータイプと丸棒タイプの両方のメリットを兼ね備えた製品なのが特徴です。
階段の素材の選び方

写真:カツデン/片持ち階段「DANDEL」
階段はさまざまな素材から作ることができます。屋内階段の場合、次の2つの素材いずれかから作られることが多いです。
- 木
- スチール
素材によって階段の設置費用やデザイン性などが大きく変わります。各素材の特徴について詳しくみていきましょう。
木
木は一般住宅の階段で多く使用されている素材です。住宅の床に近い材質を選択すれば、統一感を出すことができます。
木独特の温かみがあることや、経年変化を楽しめることなどもメリットです。また、スチールに比べると値段が安いのもメリットと言えます。
スチール
スチールも階段の素材として多く使われています。スチールの階段はシャープで引き締まった印象があるのが特徴です。
スチールは耐久性が高いのが特徴です。耐久性が高い分、階段のパーツを細くでき、圧迫感を減らすことができます。特に、リビングに階段を設置する場合、シースルー階段×スチールにすることによって、圧迫感を極力減らし、開放感を出すのがおすすめです。
デメリットは木に比べると3〜5倍程度値段が高いことです。階段全体をスチールで作ると設置費用が高くなってしまいます。段板だけは木に変更したり、骨組みと段板は木にして手すりだけをスチールにしたりすることで、費用を抑えることが可能です。
階段を選ぶ際のポイント

写真:カツデン/シースルーらせん階段「Modelia」
最後に、階段を選ぶ際のポイントについてまとめました。
階段を選ぶ際は、次の3つのポイントを意識することが大切です。
- 安全性を重視する
- 利便性を重視する
- デザインのバランスを考える
階段の種類について理解し、これらのポイントを意識することで、設置後に後悔することがなくなります。ひとつひとつの選ぶポイントについて詳しくみていきましょう。
安全性を重視する
階段は安全性を重視することがまずは大切です。特に高齢者の方にとって階段は、住宅の中でも事故が起こりやすい場所の1つです。
「健康長寿ネット」には、65歳以上の方の事故に関するデータがまとめられています。住宅内の事故のうち、事故が多く発生した場所は居室が45.0%でもっとも多いですが、その次が階段で18.7%となっています。
階段での事故を防ぐには、手すりを設置することが重要です。建築基準法では、両側に壁がある階段なら片側のみ手すりがあれば良いとされていますが、安全性をより高めるなら、両側とも手すりを設置する手もあります。
階段の勾配を緩やかにするのも重要な安全対策です。
小さい子どもがいる場合は、子どもの安全にも配慮することが大切です。子どもの場合、階段で遊んでしまって、階段の隙間から転落してしまう可能性があります。手すりにガラスパネルを設置することで、横からの転落を防ぐことが可能です。
利便性を重視する
階段は利便性にも考慮することが大切です。生活に不便を感じてしまうと、どんなにデサイン性に優れた階段でも愛着が湧きませんし、使っていてストレスが溜まってしまいます。
たとえば、蹴込み板がある箱階段の場合、階段下を収納スペースとして活用できるので、他の場所に収納スペースを作らなくて良くなります。一方で、採光性の高さや風通しの良さという観点からいうと、蹴込み板がないシースルー階段の方が優れています。
何を重視するかはそれぞれなので、家族とよく相談し合ったうえで決めるのが大切です。
デザインのバランスを考える
階段はデザイン性にも気を配ることが大切です。デザイン性に優れた階段が自宅にあることは、毎日気持ちよく過ごすことにもつながります。
特にリビングに階段を設置する場合、階段が目に入る機会が必然的に多くなりますし、リビング全体の印象にも関わってきますので、デザイン性を重視して階段を選ぶことをおすすめします。
具体的には、住宅のコンセプトと階段が一致しているか、設置場所に馴染むカラーや形状を選んでいるか、などを確認しましょう。
以下は、階段にグリーンを取り入れ北欧風の雰囲気のリビングにした例です。このように、住宅のコンセプトをまず決め、それに合う階段はどういったものか考えることが大切です。

まとめ
本記事では階段の選び方について解説しました。階段の形状や蹴込み板の有無、手すり、素材などを選ぶポイントがお分かりいただけたかと思います。
階段にはさまざまな種類があることを理解することがまず大切です。階段の形状や素材などが変われば、設置費用や安全性などが大きく変わってきます。
たとえば、直階段であれば設置費用は抑えられますが、安全性は低くなります。かね折れ階段や廻り階段は設置費用は高くなりますが、安全性は高くなります。
階段を選ぶ際は予算内に収めつつ、安全性・利便性・デザイン性の3つを重視するのが大切です。この3つを重視することで、設置後も満足して使い続けられるようになります。















