


せっかく注文住宅を購入したのに、「こんなはずじゃなかった…」と住んでから後悔する方は多くいます。後悔しないためには、注文住宅のよくある後悔事例をあらかじめ知っておくことが大切です。
本記事では注文住宅のよくある後悔事例を紹介します。立地や間取りなど、分類ごとにまとめました。
本記事を読むことでどういった点に気をつけて注文住宅を設計すればよいか分かります。注文住宅の購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
【立地】注文住宅のよくある後悔リスト
写真:カツデン/Design Frame
建売住宅は住宅と土地がセットで販売されるため、好きな土地を選ぶことはできません。注文住宅の場合は、自分で土地を選ぶことが可能です。しかし、土地の選び方を間違えてしまい、後悔する羽目になる方は多くいます。
立地関連のよくある後悔事例は次の3つです。
- 日当たりがよくない
- 周辺に生活に必要な施設がない
- 騒音が気になる
1つ1つの事例について詳しく解説していきます。
日当たりがよくない
近所に建っている家やビルが原因で日当たりが悪い、というのは重要な問題です。洗濯物が乾きにくくなってしまいますし、日の光を浴びる時間が減るのは体調面、精神面にも影響します。また、寒くて冬場は電気代もかかってしまいます。
日当たりに関しては、多くの方が事前に確認するかと思います。ただ、特定の時間帯の日当たりしか確認しない、という方もいるのではないでしょうか。他の時間帯の日当たりが最悪だった場合、後悔する羽目になってしまいます。
周辺に生活に必要な施設がない
住宅周辺に生活に必要な施設が少なくて後悔するパターンもあります。学校や駅、スーパー、銀行などが近くにないと、生活が不便になってしまいます。特に学校や駅はなるべく近い方が、登校や出勤が楽になります。
建売住宅に関しては基本的には好立地な場合が多く、生活に困ることは少ないです。建売業者は万人にとって住みやすい場所を選んで家を建てています。
注文住宅の場合は、住みやすいかどうかを自分で判断し、場所を選ぶ必要があります。
騒音が気になる
住む場所によっては、近所の騒音が気になってしまう場合もあります。騒音がうるさいとリビングでリラックスしにくくなったり、赤ちゃんが泣いてしまったりする場合があります。
たとえば、交通量の多い道路が近くにあると、車の音がうるさくなります。また、学校が目の前にあると登校は楽ですが、チャイムの音や部活動の声に悩まされる場合があります。
騒音は気になる人もいれば気にならない人もいます。自分は大丈夫であっても家族はそうとは限りませんので、確認を取ることが大事です。
また、騒音が気になる場所に建てるなら、防音性を高い建築構造を選ぶ手もあります。鉄筋コンクリート造の住宅は木造に比べて音を遮断してくれます。
【間取り】注文住宅のよくある後悔リスト
写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
注文住宅は部屋の個数や広さも自分で決めることになります。自由に決められる反面、住んだ後のことをよくイメージせず、よくない間取りにしてしまう方が多くいます。
間取り関連のよくある後悔事例は次の4つです。
- 部屋が足りない
- 生活・家事動線がよくない
- 収納が少ない
- 吹抜けのデメリットを考慮しなかった
1つ1つの後悔事例について詳しく解説していきます。
部屋が足りない
間取りの後悔でよくあるのが、部屋が足りなくなってしまうことです。
特に子どもが後で増えてしまい、子ども部屋が足りなくなるのには気をつけないといけません。また、兄弟の部屋は一緒でよいと考えていたものの、上の子が大きくなって分けた方がよいと感じるようになる場合もあります。
将来どうなるか予想できない場合は、子ども部屋をひとまず広い一部屋にしておき、後で間を仕切るという方法が考えられます。
生活・家事動線がよくない
住宅の間取りが悪いために、生活・家事効率が悪くなってしまうことは多くあります。事前に生活シミュレーションを行わないと、住みにくい間取りになってしまいます。
たとえば、2階にトイレや洗面所がなく、何度も1階に行く必要があったり、来客があるときにトイレを使いにくかったりする場合があります。
また、洗濯機置き場と物干し場が離れていると、濡れて重くなった洗濯物を持って移動しなくてはならず、疲れてしまいます。途中で家族とすれ違うこともあり、ストレスになります。
生活・家事動線に関しては、紙に書き出してみることをおすすめします。朝起きてからどのように家内を移動するか整理することで、「もっと効率的に生活できる間取りはないか」検討できます。
収納が少ない
収納が少なくて物が入りきらないのも、よくある後悔パターンです。子どもが増えたり大きくなったりすると自然と物も増えてきて、収納が足りなくなる場合があります。
たとえば、土間がなくて家族全員の靴や子どもの部活動の道具を置く場所がない、パントリーがなくて食品をストックできない、などに悩まされる可能性があります。
収納が少ない場合、ラックやワゴンを使って部屋に収納しなくてはならず、生活スペースが少なくなってしまいます。
収納スペースに関しては、気持ち広めに確保しておいた方が後で後悔しにくいです。
吹抜けのデメリットを考慮しなかった
吹抜けとは1階の天井がなく2階と繋がっている空間を指します。リビングに吹抜けを設ける住宅も多いです。リビングを吹抜けにすることで、開放感を高めることが可能です。また、リビングにいても2階にいる家族の気配を感じやすい、というメリットもあります。
ただ、リビングを吹抜けにする場合、デメリットも考慮することが大切です。1階と2階が繋がっているので、温かい空気が上に昇ってしまい、暖房の効き目が弱くなることがあります。また、音や匂いも2階に広がってしまうという問題があります。
とはいえ、寒い地域でないなら多少暖房の効き目が弱くなっても問題ありませんし、音や匂いに関しても家族に敏感な人がいないなら気にしすぎることはありません。リビング階段のメリット・デメリットを把握し、住む地域や家族と相性がよいかを考えることが大切です。
【設備】注文住宅のよくある後悔リスト
写真:カツデン/シースルー階段「FRIS」
住宅の設備に関してもよく検討することが大切です。キッチンやお風呂などの設備が使いにくいと、生活の満足度も下がってしまいます。
設備関連のよくある後悔事例は次の5つです。
- コンセントの位置が悪い
- キッチンが使いにくい
- お風呂が掃除しにくい
- トイレが使いにくい
- オール電化で電気代が高い
1つ1つの後悔事例について詳しく解説していきます。
コンセントの位置が悪い
住宅のコンセントの数や位置は見落とされがちです。コンセントの位置が悪いと、家電を置きたい場所に置くことができず不便を感じてしまいます。延長コードを使えばよいのですが、見栄えも悪くなりますし掃除も面倒になります。
コンセントの位置もやはり、生活シミュレーションを行ったうえで決めることが大切です。
たとえば、掃除機を収納スペース内で充電するなら、収納内にもコンセントがあった方が便利です。また、クローゼットの中で除湿機を使う場合も、コンセントが必要になります。
キッチンが使いにくい
家事の中でも料理は家族の幸せに関わるものです。ただ、人によって生活スタイルは異なるため、どのようなキッチンが必要かも異なります。生活に合ったキッチンでないと、思い通りに料理することができず、生活満足度が下がってしまいます。
たとえば、キッチンの作業台が小さすぎて料理がしにくかったり、ガスではなくIHコンロにしたために火力が足りなくて料理の幅が狭まってしまったり、といったことがあります。
家族が何人いてどれぐらい料理をするかによって、必要なキッチンの広さや設備は変わります。
お風呂が掃除しにくい
お風呂が掃除しにくいというのもよくある後悔パターンです。お風呂掃除は時間もかかりますし、体力も使うのでできるだけ減らしたいところです。
お風呂はカビ対策が重要になります。カビが生えやすいお風呂だと、掃除の手間がかかります。特にカビが生えやすいのは、お風呂の鏡や棚などの継ぎ目(コーキング)です。鏡や棚が不要ならなくし、コーキングを少なくすれば、掃除が楽になります。
トイレが使いにくい
トイレは1日に何度も使うことになるため、設備の中でもこだわることが大切です。
トイレに収納を設けず、後悔するというパターンがあります。収納がないとトイレットペーパーや掃除用品を収納できず床に置くことになり、見た目が悪くなってしまいます。
また、ドアは内開き・外開き・引き戸どれにするかも重要です。昔のトイレは内開きが多いですが、最近は外開き・引き戸も増えています。内開きだとドア分のスペースが必要になりますし、中のスリッパがずれてしまうのもストレスになります。
オール電化で電気代が高い
オール電化住宅とはガスを使わず、必要なエネルギーを電気ですべて賄っている住宅です。ガスを使わないため、安全性が高いのが特徴です。また、ガス代が一切かからず、電気代だけを支払えばよくなります。
オール電化はメリットもありますが、電力会社の種類や生活状況によっては、トータルの月額料金がむしろ高くなる場合もあるので注意が必要です。
また、オール電化にする場合エコキュートを設置する必要がありますが、エコキュートは大きく、スペースを取られてしまうのも考慮しておくべきことです。
【外構】注文住宅のよくある後悔リスト
写真:カツデン/Design Frame
住宅の外構に関しても、よく検討しないと後で使いにくいと感じてしまいます。また、玄関アプローチや駐車スペースなどは周囲の人から見られる場合もあるので、見られても問題ないように作ることも大切です。
外構関連のよくある後悔事例は次の3つです。
- 駐車スペースが使いにくい
- プライバシーを守れない
- アプローチ階段が使いにくい
1つ1つの後悔事例について詳しく解説していきます。
駐車スペースが使いにくい
駐車スペースが使いにくいという後悔パターンも多くあります。駐車スペースが狭すぎると、駐車するときに柱にぶつかってしまう場合もあり注意が必要です。
また、駐車スペースにはカーポートやガレージを設け、雨や直射日光から守れるようにする場合が多いです。カーポートとガレージにはそれぞれメリット・デメリットがあります。
カーポートは費用は安いですが、横殴りの雨からは車を守ることができません。ガレージは費用は高くなってしまうものの、横殴りの雨からもしっかり車を守れるうえに、シャッターをつけて施錠すれば防犯対策ができるメリットがあります。
希望や予算に合った最適な駐車スペースを考えることが大切です。
プライバシーを守れない
住宅が隣の家の人や通行人から丸見えになってしまう、というのもよくある悩みです。住宅の周辺には塀を設ける場合と設けない場合があります。
塀を設けないオープン外構は開放感が高まります。一方で、窓のカーテンを開けたときや玄関のドアを開けたときに、外から家の様子が見えてしまいます。
プライバシーを確保したいという場合は、塀を設けた方がよいです。また、塀を設けても隣家の建物の高さによっては見えてしまう場合もあるので、高さにも気をつけましょう。
アプローチ階段が使いにくい
住宅の門から玄関ポーチまでの通路(アプローチ)には、階段を設ける場合が多いです。玄関は地面よりも高い位置に設置することが多いためです。
アプローチ階段は毎日使うので、昇りやすさを重視することが大切です。段数が少ないと、一段が高くなって昇りにくくなるので注意しましょう。
また、階段横にスロープを設けるべきかも検討する必要があります。スロープがないと、ベビーカーや車椅子で昇り降りするのが大変になってしまいます。
まとめ
本記事では注文住宅のよくある後悔事例を紹介しました。
注文住宅は建売住宅と違い、立地や間取りなどを自分で決めることが可能です。しかし、よく考えずに憧れだけで決めたり、ハウスメーカーの担当者とあまり相談しなかったりすると、使いにくい住宅になってしまい、後で後悔する羽目になります。
注文住宅で後悔しないためにも、他の方がどういった点で失敗しているのか把握しておくことが大切です。また、自分で考えるだけでなく、住宅施工会社ともよく相談し、ときには反対意見を求めたり別案を出してもらったりすることも必要になります。