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KATZDENブログ
2024.12.30 コラム

注文住宅の階段でよくある後悔とは?対策も併せて解説!

この記事の監修

二級建築士 一級建築施工管理技士/課長 紀熊
二級建築士 一級建築施工管理技士/課長紀熊

注文住宅の間取りを決める際は階段を中心に考える必要があります。階段の設置場所や種類によって、生活しやすさや住宅の居心地の良さが大きく変わります。階段をよく検討しないと、設置後にイメージと違って後悔するかもしれません。

本記事では注文住宅の階段でよくある後悔とその対策について解説します。

本記事を読むことで、注文住宅に実際に住んでみてから後悔することがなくなります。注文住宅の間取りや階段を決めている最中の方は、ぜひ参考にしてください。

注文住宅の階段はどこに設置する?


写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」

まず、考えるべきなのが階段は注文住宅のどこに設置するかです。階段の設置場所には大きく次の2箇所があります。

  • 玄関ホール
  • リビング

各設置場所のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

玄関ホール

注文住宅の玄関ホールに階段を設置する事例は多いです。昔の住宅のほとんどは玄関ホールに階段があります。

玄関ホールに設置するメリットは、リビングを通過せずに2階に上がれることです。2階に個室がある家族は生活動線を短くできます。

また、リビングを経由しなくて良いので、プライバシーも確保できます。自分の部屋に友人や恋人も呼びやすくなります。

デメリットは家族間のコミュニケーションが減ってしまうことです。

リビング

最近ではリビングに階段を設置する事例も増えています。リビングに設置された階段はリビング階段やリビングイン階段と呼ばれています。

リビング階段のメリットは、家族間のコミュニケーションが増えることです。2階の個室に行くには、かならずリビングを経由する必要があります。

そのため、毎日家族と顔を合わせることになります。リビングにいれば、子どもが家から帰ってきたときも声をかけることができます。

デメリットはプライバシーが確保されなくなる点です。また、機嫌が悪いときや喧嘩をしたときなど、顔を合わせたくないときまで、リビングを経由しないといけなくなります。

注文住宅に設置する階段の種類


写真(左):箱階段(BO-051)
ネット出典:階段のタハラ
写真(右):カツデン/シースルー階段「ObjeA」

一般の住宅に設置される階段は、大きく次の2種類に分けられます。

  • 箱階段
  • シースルー階段

箱階段とシースルー階段のどちらにするかで、住宅の居心地や利便性も変わります。各階段のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

箱階段

箱階段は蹴込み板があり、箱が積み上がったような見た目をしている階段のことです。蹴込み板とは階段の段板(足を置く板)と段板の間を繋ぐ垂直の板を指します。蹴込み板があると、階段の下は見えなくなります。

箱階段のメリットは、階段下を収納スペースとして活用できる点です。狭小住宅で収納スペースも限られている場合は箱階段がおすすめできます。また、材料と施工のコストが安くなりやすい点も特徴です。

デメリットは昔ながらの階段であるため、特別感を感じにくいことです。また、次に説明するシースルー階段のメリットは得られなくなります。

シースルー階段

シースルー階段は蹴込み板がない階段を指します。スケルトン階段やストリップ階段と呼ばれることもあります。蹴込み板がないと、視線が完全には遮られなくなり、階段の向こう側が見えるようになります。カツデンの製品もほとんどがシースルー階段となっています。

シースルー階段のメリットは、蹴込み板がないことによる開放感の高さです。特にリビングに設置する階段として優れているといえます。階段が視線の邪魔をしないため、リビングに設置しても開放感があり、リラックスして過ごせるようになります。

デメリットは、階段下を収納スペースとして使えないことです。

注文住宅の階段でよく後悔することとその対策


写真:カツデン/シースルー階段「FRIS」

注文住宅に実際に住んでみて、よく後悔することとして次の5つが挙げられます。

  • 安全面に不安がある
  • 生活動線が悪い
  • 設置費用が高い
  • リビングが寒い
  • 音や匂いが2階まで広がる

これら5つは階段の設置場所を変更したり、住宅に工夫を施したりすることで解決できます。1つ1つのよく後悔することとその対策について詳しく解説していきます。

安全面に不安がある

階段は建築基準法を満たしていれば自由に設計することが可能です。しかし、建築基準法を満たすだけでは、階段の安全性が極めて低くなってしまう場合が多いです。

たとえば、段数が少なくて急な階段になっていたり、足元が暗かったり、段板が滑りやすかったりすると、安全性が下がってしまいます。

また、今は良くても将来的に後悔するかもしれません。年を取ると足腰が弱くなり、昇り降りが大変になる恐れがあります。足を持ち上げる際にバランスを崩してしまい、落下してしまうかもしれません。

階段は住宅の中で事故が起こりやすい場所のひとつです。住宅内の事故のうち、65歳以上の事故が多く発生した場所は居室が45.0%で最も多く、次いで階段が18.7%となっています。(医療機関ネットワークへ報告された平成22年12月から平成24年12月末までの事故による統計)

参考:高齢者の住宅内の事故 | 健康長寿ネット

そのため、デザイン性だけでなく安全性にも考慮して階段を設計することが大切です。

対策:勾配を緩やかにする

1m以上の高さの階段は、建築基準法によって手すりの設置が義務化されています。1m以上の高さの階段の場合、壁がない側には必ず手すりが必要、両側に壁があってもどちらかには手すりが必要と決められています。

加えて、安全性を高めるためには、勾配を緩やかにするのがおすすめです。そのためには段数をある程度増やす必要があります。勾配を緩やかにすれば高齢者も昇りやすくなります。

その他、階段に滑り止め加工を施したり、フットライトを設置して足元を明るくしたりすることで、より安全性を高められます。

生活動線が悪い

階段の設置場所が悪いせいで、生活の効率が悪くなってしまうこともよくあります。生活動線が悪いと、ストレスが少しずつ溜まっていくものです。

たとえば、2階のベランダとランドリールームの距離が遠い場合、洗濯物を干すのに住宅中を歩き回らないといけなくなります。

生活動線の良し悪しは、実際に住んでみて初めて気がつく場合もあります。間取りに関しては「これが正解」というものはなく、生活スタイルに合わせなくてはいけないためです。

たとえば、ベランダとランドリールームの距離が遠くても、ランドリールームで室内干しする場合や乾燥機で乾かす場合は特段問題ないでしょう。

対策:平日・祝日のシミュレーションを行う

家族全員が過ごしやすくなるよう、間取りを決める際は平日・祝日の生活のシミレーションを行い、紙に書き出してみることが大切です。

たとえば、起床して寝室から出る⇒顔を洗うために洗面所に行く⇒子どもを起こすために2階の奥の個室に行く……というように、部屋をどう移動するか整理します。整理した後は、もっと効率的に移動できる間取りにできないか考えてみます。

家族全員の生活シミュレーションを行うことで、階段などですれ違う頻度が多くないかも確認できます。階段ですれ違う頻度が多いと、毎回避ける必要があってストレスを感じます。

設置費用が高い

階段の形状や素材、デザインなど多くの箇所にこだわってしまった結果、想定よりも費用がかかってしまうことはよくあります。階段に限らず注文住宅を建てる際は、予算内で収めることも考えないといけません。

対策:階段の素材・形状を検討する

階段の設置費用を抑えるには、素材・形状の検討を行う必要があります。

階段の素材は木とスチールの2種類がメインです。基本的には木の方が安く、スチールは4〜5倍程度の値段がします。ただ、スチールは耐久性があることで細いデザインにもできるなど魅力的な面もいくつかあります。

スチールを取り入れつつも費用を抑えたいなら、手すりだけスチールにして後は木にするなど、素材の組み合わせを考えると良いです。

階段の形状は、直階段やかね折れ階段、回り階段、らせん階段など、さまざまな種類があります。シンプルな形状の直階段がもっとも費用を抑えられます。

ただし、直階段は直線距離を必要とするため、間取りの関係で設置できない場合もあります。その場合はかね折れ階段や回り階段などの導入を検討しましょう。

リビングが寒い

これはリビングに階段を設置した場合の良くある後悔パターンです。リビングに階段を設置する場合、開放感をより高めるために設置場所を吹抜けにすることが多くあります。しかし、吹抜けにすると上下階が繋がるため、エアコンの温風が2階に昇ってしまいます。

暖かい空気は上へ、冷たい空気は下に留まる性質があります。そのため、吹抜け階段にした結果、寒いと感じてしまいやすくなるのです。

とはいえ、最近の住宅は気密性・断熱性に優れているので、そこまで寒いと感じない場合も多いです。ただ、東北などの地域に住むなら、寒さ対策は行った方が良いと言えます。

対策:エアコンの空気を循環させるようにする

暖かい空気が上に留まらないようにエアコンの空気を循環させれば、リビングにいても寒いと感じなくなります。比較的手軽にできる対策としては、シーリングファンの設置が挙げられます。シーリングファンとは天井に取り付ける送風機のことです。

シーリングファンは見た目もおしゃれですし、吹抜けに設置すると存在感があるのでおすすめです。電気代もエアコンに比べれば高くないので、節約に繋がります。

音や匂いが2階まで広がる

これもリビング階段、特に吹抜けにした場合の後悔パターンです。リビングの音や匂いが階段を伝って2階の個室近くまで広がってしまう可能性があります。

2階のテレビの音や話し声がうるさくて、勉強や仕事に集中できず、家族内で喧嘩になる場合もあります。音に敏感な人はかなりのストレスになります。

また、焼き肉など匂いがきつい料理をした場合、匂いが長時間残っていることがあります。リビング階段だと匂いが2階の個室近くまで広がってしまう可能性もあります。

家族が快適に過ごすためにも、音・匂い対策を考えておきましょう。

対策:防音性の高いドアを導入

まず、音に関しては防音性の高いドアを2階の個室に付けることで解決します。防音ドアにはゴムパッキンが付いていて、ドアの隙間を埋めてくれるので音を遮断できます。

防音ドアはなるべく高いものの方が、音をより遮断してくれるのでおすすめです。どうしても費用をかけたくない場合は、ドアに隙間テープを貼ったり、ドア側にタンスなど大きめの家具を置いたりして、できる限り音を遮断できるようにしましょう。

対策:換気扇を強力なものにする

換気扇を強力なものに変更するのもおすすめの対策です。

換気扇はモデルによって換気能力が異なるので、確認したうえで選ぶことが大切です。また、最新モデルは換気力が高く、更に音も静かな場合が多いです。

換気扇は後で交換することも可能です。換気力が足りないと感じたら、リフォーム会社などに交換を依頼してみましょう。

まとめ

本記事では、注文住宅に住んでみて階段関連でよく後悔することとその解決法を解説しました。注文住宅に導入する階段はどのような点に気をつけて決めるべきか、お分かりいだたけたかと思います。

せっかく注文住宅を建てるなら、最大限に満足できるように間取りやデザインを考えたいです。特に階段は住宅の中心となるものなので、費用や安全性を考慮しつつ、家族全員が使いやすいものを設置したいところです。

本記事で紹介した対策も参考に、注文住宅に導入する理想の階段を考えてみてください。

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