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KATZDENブログ
2024.01.09 コラム

玄関前の階段はどうする?設置のポイントを解説!

この記事の監修

二級建築士/係長 高木 智加
二級建築士/係長高木 智加

皆さん、こんにちは。カツデンの編集部です。

新居の玄関アプローチの階段をどのような感じにするか検討中の方はいますか?玄関前の階段は住宅のイメージを左右する重要なものなので、細かい部分までしっかり考えることが大切です。

本記事では玄関前の階段を設置する際に、考えるべきことについて解説します。階段をおしゃれに見せるためのポイントについてもまとめました。

本記事を読むことで、玄関前の階段を設置するうえで何に気をつけたら良いかが分かります。玄関前の階段について検討中の方はぜひお読みください。

玄関前の階段が重要な理由


写真:浜松市 外構工事
ネット出典:ハマニグリーンパーク

道路に面した門回りから玄関ポーチ(玄関の屋根がある部分のこと)までの通路は、アプローチと呼ばれています。玄関は地面よりも高い位置に設置することが多いため、アプローチには階段を設けて昇りやすくする場合が多いです。

玄関前の階段が重要な理由は次の2つです。

  • 真っ先に目につく場所だから
  • 家族全員が毎日使う階段だから

1つ1つの理由について詳しく解説していきます。

真っ先に目につく場所だから

玄関前の階段は、来客が多い場合は特にデザイン面を重視したいです。なぜならお客様に最初に見られる場所であり、住宅の印象に大きく関わってくるためです。おしゃれな階段が玄関前に設置されていれば、お客様からも一目置かれます。

家族全員が毎日使う階段だから

家の中の階段なら、2階を利用しない家族は昇り降りすることはありませんが、玄関前の階段は家族全員が毎日使うことになるため、安全面を特に重視する必要があります。子どもからお年寄りまで全員が使いやすい階段にするのが理想です。

また、外階段は雨に濡れて滑りやすくなることがあるため、滑りにくい素材を選んだり加工を施したりした方が良いと言えます。他には、手すりを設置したり一段ごとの高さを低くしたり、ベビーカーや車椅子を持ったままでも出入りできるようにスロープを付けたり、といったことも家族の状況を踏まえたうえで検討する必要があるでしょう。

玄関前階段を設置する際に考えること


写真:玄関アプローチへの階段リフォーム
ネット出典:建匠テック

玄関前階段はデザイン面・安全面の両立を目指すことが重要です。そのためには、次の5つについて検討する必要があります。

  • 段板の大きさなど
  • 階段の素材
  • 階段の手すり
  • スロープの有無
  • 屋根の有無

1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。

段板の大きさなど

段板とは地面と水平になっている足を置く場所のことです。

玄関前階段の場合、家の中の階段よりも段板を大きくした方が良いです。靴を履いて昇り降りするうえに、荷物を持ちながら利用することが多くあるためです。また、段板を大きくした方が、雨の日に滑って怪我をする心配が少なくなります。

また、段数はなるべく多くし、1段ごとの高さが低くなるようにすることをおすすめします。1段ごとの高さが低い方が、お年寄りでも昇りやすくなります。家族にお年寄りがいない場合でも、将来のことを考えて設計した方が良いです。

段板の高さは途中で変えることなく、一定にする方が安全です。段板の高さが一定でないと、踏み外す可能性が高くなってしまいます。加えて、段数が多い場合は踊り場を設けるのもおすすめです。踊り場を設ければ下まで落下せず、怪我を防げる可能性があります。

階段の素材

次に考えるべきなのが階段の素材です。素材をどうするかによって、階段の安全面やデザイン性、メンテナンス性が大きく変わります。

玄関前階段の素材として多く使われているのは次の5つです。

  • 素材1.コンクリート
  • 素材2.自然石(天然石)
  • 素材3.レンガ
  • 素材4.タイル
  • 素材5.枕木

1つ1つの素材の特徴について詳しく解説していきます。

素材1.コンクリート

建築素材として多く使われているコンクリートは、耐久性・耐震性に優れているのが特徴です。また、無機質な見た目も魅力的です。玄関前階段をコンクリートで作ることで、住宅の雰囲気を引き締めることができます。

加えて、コンクリートで階段を作る場合、仕上げとしてさまざまな加工を施し、より見た目を美しくしたり滑りにくくして安全性を高めたりすることが可能です。

たとえば、刷毛を使って表面を引き、ホウキで掃いたような模様をつけることができます。階段の印象を変えられるだけでなく、滑りにくくできるのが特徴です。ただし、刷毛の目にゴミやホコリが引っかかってしまうため、掃除が面倒になるのがデメリットです。

他には、表面を金ごてという道具で上から押さえていく仕上げ方法もあります。金ゴテ仕上げを行うことで、表面が滑らかになりコンクリート本来の美しさをアップさせられます。また、刷毛仕上げよりも掃除がしやすいのもメリットです。デメリットは表面が滑らかになる分、雨の日に滑りやすくなってしまう点です。

また、洗い出し仕上げというのもあります。コンクリートが乾き切る前に表面に水を流し、砂利を露出させます。砂利を露出させることで滑りにくくできるうえに、本来持つ無機質さを減らすことが可能です。コンクリート階段を住宅の雰囲気に合わせたい場合におすすめです。ただし、上記2つに比べると多少値段は高くなります。

素材2.自然石(天然石)

自然石とは人工的に合成された石以外を指します。自然石は玄関前階段の素材としても多く使われています。一口に自然石といってもさまざまな種類があります。代表的なものとしては、次の3つが挙げられます。

  • 御影石:細かい粒状の模様を持つ。和風・洋風の住宅どちらにも合わせられる
  • クォーツストーン:キラキラと輝きを放つのが特徴。洋風の住宅に特に合う
  • アンティーク石材:表面がボコボコしており質感と温かみがある。値段が高め

住宅との相性や予算面を考慮して、自然石を選択する必要があります。

また、自然石の貼り方には「方形」と「乱貼り」の2種類があります。「方形」は四角く加工された自然石を貼っていく方法で、整理整頓された雰囲気を作ることができます。「乱貼り」は加工せずにそのまま貼っていく方法で、自然を感じやすいのが特徴です。

素材3.レンガ

レンガは粘土と岩、水を練って、長方形に焼き固めた建築材を指します。建物の壁や塀、階段の素材として古くから使われています。ヨーロッパの洋風な住宅でよく見られる赤茶色のレンガもあれば、和風な印象の灰色のレンガもあります。

住宅と同じ色のレンガを玄関前階段で使用することで、統一感を出すことができます。また、レンガはガーデニングとも相性が良く、ナチュラルな空間を作ることができます。

レンガのデメリットとしては、風化しやすいことが挙げられます。しかしこれは、見た目の変化を楽しめるというメリットとも捉えることができます。

素材4.タイル

タイルは石や粘土から生地を作り、それを高温で焼いた建築素材です。玄関ポーチの床はタイルで作られることが多いですが、玄関前階段もタイルにすることができます。

玄関ポーチとまったく同じタイルにすれば統一感を出せるのですが、ここは注意が必要です。タイルは滑りやすいものも多く、玄関ポーチのタイルでは階段と相性が悪い可能性があります。階段の素材として使うなら、外床用の滑りにくいタイルを選びましょう。

素材5.枕木

枕木は線路のレールの下に敷かれている木材のことです。枕木は玄関前階段の素材としても使われることがあります。木らしいナチュラルな雰囲気を作り出してくれます。また、ガーデニングともよく合います。

ただし、木は雨に濡れると腐りやすくなるので外階段として使う場合、メンテナンス・交換の頻度が上がってしまうのがデメリットです。

階段の手すり

玄関前階段には手すりを設置することをおすすめします。建築基準法上、高さが1mを超える階段の場合、手すりを設ける必要があります。また、1mに満たない場合でも、お年寄りや子どもでも昇り降りしやすいように設置した方が良いです。

手すりは握りやすさはもちろんのこと、デザイン面も考慮して選ぶことが大切です。手すりは階段のパーツの中でも目が行きやすいためです。

手すりには、地面に固定するタイプと壁に固定するタイプがあります。また、2段になっていたり、横桟(手すりの横線のこと)が設けられていたりするものもあります。

スロープの有無

階段横にスロープも設けることも可能です。スロープは車椅子・ベビーカー用と自転車用の2種類に分けることができます。

車椅子・ベビーカー用のスロープを設けることで、昇り降りが楽になります。転落防止にもつながるので、将来のことも考慮して設置するのもおすすめです。ただし設置する場合、十分な広さが必要になります。安全面を踏まえるとスロープの幅は1m以上にした方が良いです。

スロープは滑りにくい素材にするのがおすすめです。また、スロープにも手すりを設置すると、お年寄りの方がより昇り降りしやすくなります。

自転車用のスロープは、自転車を家の中で保管する場合に便利です。こちらは30cm程度の幅で十分なケースが多いです。

屋根の有無

玄関前階段には屋根を設けることもできます。屋根があることで、玄関から駐車場まで向かうまでに雨が降っていても、傘を使わなくて良くなります。短い距離のために傘を開くのは面倒ですし、狭い玄関で全員が一斉に傘を開くのは結構危ないです。加えて、雨で階段が滑りやすくなっているため、傘に気を取られて踏み外す可能性があります。

屋根を設置すれば、このような問題を解決することが可能です。

また、駐車場と玄関の高低差がそこまでないなら、カーポートと共通の屋根にすることもできます。高低差があるなら、玄関に単独で設置するタイプを選ぶ必要があります。

玄関前の階段をおしゃれに見せるポイント


写真:スタイリッシュで上品な存在感の玄関ポーチ階段と機能門柱設置工事
ネット出典:ガーデンプラス

最後に、玄関前階段をおしゃれに見せるポイントを紹介します。玄関前階段はお客様に最初に見られる場所ですから、おしゃれには気を遣うことが大切です。

おしゃれに見せるポイントは次の4つです。

  • おしゃれな照明を付ける
  • フローティングステップを採用する
  • 住宅との相性を考慮する
  • 植栽を取り入れる

1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。

おしゃれな照明を付ける

足元を照らす照明を付けることで、夜でも見えにくくて踏み外すことがなくなりますし、階段のおしゃれ感をいっそう高めてくれます。照明にはさまざまな種類がありますが、おしゃれを重視するなら蹴込み板(段板の間を繋ぐ地面と垂直になっている部分)の箇所に埋め込むタイプがおすすめです。階段の各段から光が出て幻想的な雰囲気を作ることができます。

フローティングステップを採用する

フローティングステップとは浮き階段のことです。段板の土台になる部分を少しへこませることで、段板が浮いているように見せることができます。多少費用はプラスされますが、立体感を出して上質な空間にしたいならおすすめです。

住宅との相性を考慮する

玄関前階段は、住宅との相性を考慮することが大切です。住宅との相性を考慮しないと「設置してみたけどイメージと違う」となりやすいです。

住宅と同じ色にすることで統一感を出す手もありますし、あえてイメージが正反対の階段を設けてアクセントを付ける手もあります。家族の好みに応じて選択しましょう。

植栽を取り入れる

玄関前階段に植栽を取り入れることで、階段の印象を変えることができます。たとえばコンクリートの階段と組み合わせると、コンクリートが持つ無機質さに優しさを加えることが可能です。

また、植物が持つ香りによって、毎日気持ちよく昇り降りすることができます。季節ごとに異なる植栽を取り入れて、自由におしゃれを楽しみましょう。

まとめ

本記事では玄関前階段について解説しました。玄関前階段を設置する際に考えるべきことや、おしゃれにするポイントなどがお分かりいただけたかと思います。

玄関前階段は、安全面・デザイン面を考慮して設置することが大切です。雨の日でも滑りにくい素材・加工を選択したり、手すりを設置して転倒時の怪我を防止したりなど、家族の状況や将来のことを踏まえて安全策を導入しましょう。

また、階段はインテリアとして楽しむことも大切です。おしゃれな照明を付けたりガーデニングと組み合わせたり、自由におしゃれを楽しみましょう。

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