


新居をスケルトン階段にしたいと考えているものの、老後でもスケルトン階段は使えるのか不安な方も多いのではないでしょうか。結論、老後に備えてきちんと安全対策を行っておけば、スケルトン階段でも安心して使うことができます。
本記事では老後に後悔しないためのスケルトン階段の安全対策について解説します。階段の勾配や幅、手すりなどはどうしたら良いのかについてまとめました。
本記事を読むことで、スケルトン階段を安心して導入できるようになります。スケルトン階段に興味がある方はぜひ参考にしてください。
スケルトン階段とは?
写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
スケルトン階段とは段板(足を乗せる板)と骨組みのみで構成されたシンプルな階段のことで、 オープン階段・シースルー階段・ストリップ階段とも呼ばれています。
一般的な階段では蹴込み板と呼ばれる、段板と段板の間を繋ぐ板があります。蹴込み板がある階段は箱が積み上がったような見た目をしていることから箱階段と呼ばれています。
また、スケルトン階段は側面に壁がないのも特徴です。壁がない代わりに手すりを必ず付ける必要があります。
スケルトン階段は開放感の高さや見た目がシンプルでスタイリッシュなことから人気があります。特に、リビングに設置する階段として人気です。リビングにスケルトン階段を設置することで、空間全体をおしゃれに見せることができます。
スケルトン階段のメリット
スケルトン階段は蹴込み板や壁がなく、階段が視界を遮ることがありません。そのため、開放感があるのがメリットです。リビングに階段を設置しても圧迫感が高まりません。
また、窓の位置によっては採光性が高くなるのも特徴です。階段に隙間があるので2階の窓からの光を遮ることなく通してくれます。
加えて、空気を循環させやすいのもメリットです。階段の隙間を空気が通るため換気効率が高まります。
このようなメリットに惹かれる方はスケルトン階段がおすすめです。
スケルトン階段のデメリット
スケルトン階段のデメリットは、下を収納スペースとして使えないことです。蹴込み板のある箱階段の場合は下を収納スペースなどに使えます。
また、スケルトン階段は値段が高くなりやすいです。少ない部材で強度を保つ必要があり、技術的な裏付けをするための開発費や製作上の工数、デザイン性が高いことによる付加価値、製作できる会社が少ないという希少価値などが乗っかってくることがその理由です。
このような点には気をつけてスケルトン階段を導入することが大切です。
階段は住宅の中でも事故が発生しやすい場所
写真:カツデン/シースルー階段「FRIS」
階段は住宅の中でも事故が起こりやすい場所です。
「健康長寿ネット」によると、住宅内の事故のうち65歳以上の事故が多く発生した場所は、居室が45.0%で最も多く、次いで階段が18.7%となっています。
特にお年寄りの場合、足腰が衰えていることが多く、足を持ち上げたときにバランスを崩して転倒してしまうケースがあります。
そのため、階段の安全対策は念入りに行うことをおすすめします。今は良くても、老後になったときに困る可能性があります。
老後に後悔しないためのスケルトン階段の安全対策
写真:カツデン/階段手すり
スケルトン階段は通常の階段と比べて、危険度が大きく向上するわけではありません。ただ、蹴込み板がないため足が奥まで入り込んでつまずいたり、側面に壁がないので手すりの隙間から落ちてしまったりする可能性はあります。
このようなことが不安な場合は、次の安全対策を行うことを検討してみましょう。
- 蹴込み板を付けて隙間をふさぐ
- 手すりに横桟やパネルを付ける
これらを行うことで、老後でも安心してスケルトン階段を使えます。ひとつひとつの安全対策について詳しく解説していきます。
蹴込み板を付けて隙間をふさぐ
蹴込み板をつけて隙間をふさげば、足が奥まで入り込んで段板につまずいてしまうのを防げます。また、透明な蹴込み板でなければ下が見えなくなるので、恐怖感を和らげられるメリットもあります。
カツデンではスケルトン階段の製品を販売していますが、オプションで蹴込み板を付けることも可能です。パンチングパネルとアクリルパネルの2種類の蹴込み板から選べます。
ただし、蹴込み板を付けるとスケルトン階段の開放感の高さは減少してしまいます。その点には注意して蹴込み板を付けるか検討しましょう。
手すりに横桟やパネルを付ける
スケルトン階段の手すりに横桟やパネルを付けることで、横からの転落を防止できます。
老後に腰が曲がって手すりに手が届きにくくなっても、横桟を付ければ掴むことができます。
また、パネルをつければ、小さい子どもが隙間から顔を出したり物を落としたりしてしまうのを防げます。
スケルトン階段に限らず安全性を高めるために検討したいこと
写真:カツデン/箱段板階段「Gradea」
続いて、スケルトン階段に限らず、安全性を高めるために検討したい4つのことを紹介します。
- 勾配を緩やかにする
- 家庭用昇降機のために階段の幅を広めにしておく
- かね折れ階段や回り階段にする
- 手すりを設置する
これら4つにも考慮して階段を設計すると、老後でも使いやすくなります。ひとつひとつの検討内容について詳しく解説していきます。
勾配を緩やかにする
階段の勾配を緩やかにすることで、老後に足腰が衰えても昇りやすくなります。勾配が緩やかだと一段の高さが低くなり、足を高く持ち上げなくて良くなるためです。
建築基準法では以下の基準に基づいて階段を設ける必要があると定めています。
- 段板の幅:75cm以上
- 蹴上:23cm以下
- 踏面:15cm以上
しかし、建築基準法の基準はあくまで最低ラインです。この基準ギリギリで階段を作ると、勾配は57度になってしまい、かなり使いにくい階段になります。
階段メーカーであるカツデンでは、次の基準で設計する場合が多いです。
- 蹴上:20cm〜21cm
- 踏面:22cm〜25cm
この基準で設計すると勾配は約39度〜42度になり、老後でも使いやすい階段になります。もっと緩やかにすることも可能ですが、そうするとスペースを多く取ってしまううえに段数が増えて設置費用も上がるため、このあたりが現実的なラインと言えます。
家庭用昇降機のために階段の幅を広めにしておく
老後に備えるなら、家庭用昇降機のために階段の幅は広めにしておくことをおすすめします。家庭用昇降機とは、壁にレールを付けて、レールの上を椅子で移動できるようにしたものです。家庭用昇降機があれば、老後に足が不自由になっても2階に昇れるようになります。
ただし、家庭用昇降機は折りたたんだ状態でも25cm〜30cm程度あり、階段の幅を建築基準法の最低ラインの75cmにすると、かなり狭くなってしまいます。
スペースに余裕がない場合は話は別ですが、家庭用昇降機を使う可能性を考慮して、階段幅は100cm程度にしておくと良いです。
かね折れ階段や回り階段にする
直階段よりもかね折れ階段や回り階段の方が安全性の面では上です。直階段とはまっすぐに昇降する階段のことです。かね折れ階段は途中の踊り場で90度曲がる階段、回り階段は途中で90度に2回曲がる階段を指します。
かね折れ階段や回り階段の場合、万が一踏み外しても一番下まで落下せず、曲がる部分で留まれます。一方で直階段は、一番下まで落下して大怪我を負う可能性があります。
ただし、直階段の方が設置費用は安くなります。また、荷物を持って昇り降りしやすいなどのメリットもあるので、予算や生活スタイルに合わせて選びましょう。
手すりを設置する
1m以上の階段には手すりが必ず必要です。建築基準法では1m以上の階段の場合、「壁がない側には手すりが必要」「どちらか一方には手すりが必要」と定められています。
つまり、壁がないスケルトン階段は両側に手すりが必要です。また、両側に壁がある場合でも、どちらか一方には手すりが必要になります。
また、手すりの形状にも気を配ることが大切です。手すりには丸い形の「丸棒タイプ」、長方形の「フラットバータイプ」などがあります。
「丸棒タイプ」はどの角度から強く握っても痛くないのが特徴、「フラットバータイプ」は手すりにもたれかかるようにして昇れるのが特徴です。
その他スケルトン階段を設置する際に考えるべきこと
写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
その他、スケルトン階段を設置する際に考えるべきことを4つ紹介します。
- 小さい子どもがいる場合は安全対策を行う
- スケルトン階段が怖いと感じないか確認する
- スカートの中が下から見えないように配慮する
- スケルトン階段とリビングの調和を考える
これら4つも考えたうえで設置すると、スケルトン階段の満足度がより高まります。ひとつひとつの考えるべきことについて詳しく解説していきます。
小さい子どもがいる場合は安全対策を行う
子どもは手すりの隙間や段板の隙間から顔を出して遊んでしまう可能性もあります。そのため、老後になって足腰が衰えた場合とは別の安全対策が必要になります。
子どもが落下しても大丈夫なように、転落防止ネットを付けると良いです。転落防止ネットはいつでも外せるのがメリットです。子どもが大きくなったら外しましょう。
その他、手すりにパネルを付けるのも安全対策になります。ただし、パネルを付けると圧迫感は高まってしまいます。
スケルトン階段が怖いと感じないか確認する
家族の中にスケルトン階段が怖いと感じる人がいないか確認することも大切です。高所恐怖症の方の場合、昇り降りの最中に1階の床が見えると怖いと感じる場合もあります。
家族全員の希望を考慮して階段のデザインや種類を決めることが重要です。
スカートの中が下から見えないように配慮する
スケルトン階段をリビングに設置する場合の注意点ですが、スカートの中が下から見えないように配慮することが場合によっては必要です。
スケルトン階段は蹴込み板がないので、スカートの中が下から見えてしまう恐れがあります。家族間なら気にならないかもしれませんが、お客さんが来た場合、気を使わせてしまうかもしれません。
リビングの間取りを工夫することで、この問題は解決します。お客さんを呼ぶスペースの位置を階段から離せば問題ありません。
スケルトン階段とリビングの調和を考える
これもリビングに階段を設置する場合のポイントです。スケルトン階段は必要最低限のパーツで構成されており、見た目が美しいのもメリットの1つです。せっかくの美しさを最大限活かすためにも、リビングの家具や床との調和を考えるようにしましょう。
たとえば、家具の色味や雰囲気をスケルトン階段と合わせる、階段の段板と床を同じ木材で統一する、というようにインテリアにこだわることが大切です。
まとめ
本記事では老後に後悔しないためのスケルトン階段の安全対策について解説しました。スケルトン階段を安心して使えるようにするにはどのような点に気をつけて設計すれば良いのか、お分かりいただけたかと思います。
スケルトン階段は通常の階段に比べて、危険度が大きく高まるというわけではありません。ただ、蹴込み板がないとつまずいてしまう可能性がある点には注意しましょう。カツデンのスケルトン階段に関しては、オプションで蹴込み板を付けることも可能です。
また、スケルトン階段は壁がないため、手すりの隙間から落ちてしまう可能性もあります。心配な場合は横桟やパネルが付いた手すりを選ぶのもおすすめです。
その他、なるべく緩やかな階段にしたり、かね折れ階段や回り階段にしたりといった安全対策も効果的です。このような安全対策を行うことで、老後でも安心して昇り降りできます。
とはいえ、何歳で家を建てるのかも重要です。若くて元気な状態で過ごす時間が長いのに、老後のことを考えて今を犠牲にするのは良い考えとは言えません。
「老後にこういう可能性がある」と考えておきながら、後にリフォームがしやすいように下地を入れておいたり、取り外して交換しやすい製品を選んだりと、老後を考えたやり方は様々あるため、施工会社に相談してみると良いと思います。