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KATZDENブログ
2024.09.08 コラム

階段の幅の平均は?使いやすくて安全な階段の幅を解説

この記事の監修

二級建築士 一級建築施工管理技士/課長 紀熊
二級建築士 一級建築施工管理技士/課長紀熊

住宅などの建物に階段を設置する時は、使いやすくて安全な階段を設置したいものです。
「階段の幅はいくつぐらいが理想的なのか」
「階段の幅は法律で定められているのか」

このような疑問が生じる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、階段の幅に関する法律を解説するほか、安全で使いやすい階段についての説明、さらには階段の幅や形に制限がある場合に階段をより使いやすく安全なものにする方法についても説明します。

階段の幅についてお悩みの方は、ぜひこの記事をご一読ください。

建築基準法で定められている階段の幅

階段の幅は「建築基準法」という法律によって、階段の横幅、蹴上(階段の1段分の高さ)、踏面(階段の奥行きであり、足を乗せる場所)についての決まりが定められています。具体的には、以下の通りです。

住宅の場合、

  • 蹴上(階段の1段分の高さ):23cm以下
  • 踏面(階段の奥行きであり、足を乗せる場所):15cm以上
  • 階段の横幅:75cm

中学校・高校や公共施設の場合、

  • 蹴上(階段の1段分の高さ):18cm以下
  • 踏面(階段の奥行きであり、足を乗せる場所):26cm以上
  • 階段の横幅:140cm

小学校の場合、

  • 蹴上(階段の1段分の高さ):16cm以下
  • 踏面(階段の奥行きであり、足を乗せる場所):26cm以上
  • 階段の横幅:140cm

これらの法律で定められた制約を守って、階段を設置する必要があります。

より安全で使いやすい階段にするための寸法

参考記事:階段にはどんな種類がある?素材別・形状別にも解説! | KATZDEN (kdat.jp)

建築基準法に定められた寸法を守っただけでは、やや使いにくい階段になってしまいます。

例を挙げると、住宅の階段では踏面(階段の奥行きであり、足を乗せる場所)が15cmの場合、建築基準法はクリアします。しかし、15cmの奥行きでは、足のサイズよりも小さいため、やや使いづらく転倒しやすい階段になります。

ここでは、より使いやすく安全な階段について、以下の観点から解説します。

  • 歩幅・足のサイズに合わせた階段の幅にする
  • 階段を使用する人に階段の幅を合わせる

具体的に1つずつ説明します。

歩幅・足のサイズに合わせた階段の幅にする

一般的に、昇り降りがしやすい階段の寸法は、蹴上は18~20cm程度、踏面が20~22cm程度とされています。

踏面と蹴上のバランスも、階段の昇り降りのしやすさには大きく関わってきます。「蹴上×2 + 踏面 =60cm」のバランスが使いやすい階段の幅だと言われています。

蹴上、踏面がともに20cmの場合や、蹴上が19cm、踏面が22cmの場合などが当てはまります。

足のサイズの大きい方が利用する場合は踏面を大きくしたり、歩幅の小さい方が多く利用する場合は踏面を小さくしたりと、利用者の足に合わせて決めると良いでしょう。

使用する人に合わせた階段の幅にする

写真:子供が利用する階段
出典:SUPER WALL BUILDERS FAMILY

建築基準法においても、小学校の階段は一般の住宅の階段に比べて、蹴上は低く、踏面は長く定められています。

背の小さい子供には、階段の段差は小さい方が歩きやすく、また階段の奥行きが広い方が踏み外しにくく安全であるためです。

このように、階段を使用する人に合わせて、理想の階段の幅は変わります。

子供やお年寄りが多く使用する階段では、蹴上は15cm、踏面は30cm程にしている事例もあります。

人がすれ違うために必要な階段幅は?

写真:人がすれ違うことのできる階段
出典:photoAC

階段で人がすれ違う機会が多いか少ないかも、考慮すると良いでしょう。狭い階段でのすれ違いは、ストレスになるほか、危険も増します。

一般的に、階段の横幅が78cm以上あると、人と人がなんとかすれ違うことができ、100cm程度あるとゆとりを持ってすれ違うことができるとされています。

階段の幅に制限がある場合の安全対策

階段のスペースや1階と2階の高さによっては、階段の幅を思い通りに設置できないこともあります。

その時に、階段を使いやすく安全なものにする方法は、以下の通りです。

  • 踏面に滑り止めを設置する
  • フットライトをつける
  • 手すりを設置する
  • リフトや昇降設備を設置する

それぞれについて詳しく解説します。

踏面に滑り止めを設置する

写真:階段に設置された滑り止め
出典:ノンストップラボ

踏面に樹脂製の滑り止めを設置したり、滑りにくい塗料を表面に塗布したりすることで、階段で滑って転倒するリスクを減らすことができます。滑り止めは、既にある階段に後から設置することも可能です。

滑り止めには多くのカラー展開があるため、階段に馴染む色合いの滑り止めを設置することが可能です。見た目も良いまま安全性を高めることができます。

なお、滑り止めに関してはひとつ注意があります。階段に溝を掘る「ノンスリップ加工」を目にした事がある方もいらっしゃるかもしれませんが、この「ノンスリップ加工」には滑り止めの効果はありません。

カツデンでは、「滑り抵抗係数」が0.36以上となるように階段の表面に滑り止めの塗料を塗布しています。この「滑り抵抗係数」とは、国土交通省が定めた滑りにくさを表す数値です。この数値が低いと転倒しやすくなり、逆に高いと滑りにくいがつまづきやすくなります。

床を上足で歩いた時の最適な一滑り抵抗計数が0.35~0.4と言われており、カツデンの滑り止めの塗料の滑り計数はこの範囲内に収まっています。さらに、床と階段で急に滑りやすさが変わることもなく安全に通行ができるため、カツデンの滑り止めの塗料はおすすめの手段です。

フットライトをつける

写真:階段に設置されたフットライト
出典:Room Clip

夜中に階段を昇り降りすると、昼間に比べて足を踏み外すリスクは高まります。階段の奥行きを十分に確保できない場合は、フットライトを設置することで、怪我が起きにくくなります。

フットライトは足元のみを照らしてくれるため、夜中や寝起きでもまぶしい思いをせずに階段を安全に昇り降りが可能です。

人感センサーで電灯がつくタイプのフットライトもあります。電気の節約になるほか、電源のスイッチを暗い中で探す手間も省けます。

手すりを設置する

名前:階段に設置された手すり
出典:INTERIOR BOOKS

手すりは、急な階段を昇り降りする場合の補助として活用できるほか、階段で滑ったり転倒したりする場合にとっさに掴まる物としても非常に有効です。建築基準法では、高さ1m以上の階段には手すりを設置することが義務付けられています。

階段が壁に沿って設置してある場合、階段の高さに関わらず壁側に手すりをつける義務はありませんが、両側に手すりをつけておくと安心です。

階段の手すりが柵代わりになるデザインも多くあります。

リフト・昇降設備を設置する

写真:階段に設置された滑り止め
出典:LIFULL HOME’S

階段の幅が狭かったり階段の傾斜が急であったりと自力で階段を昇り降りがしにくい場合は、リフトや昇降機をつけることもひとつの方法です。

リフトのスペースが必要になることや初期費用はかかることは懸念されますが、何より安全であり、楽に階段の昇り降りができます。

まとめ

参考記事:階段を全種類まとめ!素材・形状などで分けました! | KATZDEN (kdat.jp)

この記事では、階段の幅についての平均や建築基準法で定められた値について解説したほか、より安全で使いやすい階段の幅について説明しました。さらに、階段の幅が十分に確保できない場合の対策についてもまとめました。

階段の幅にこだわることで、日々の生活での階段を使用する際のストレスが減るほか、安全性が向上します。

本記事を参考に、それぞれの住宅に合う階段の幅をぜひご検討ください。

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