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KATZDENブログ
2025.04.17 コラム

スチールの素材を活かすカツデン独自の仕上げ「ヴィンテージプリズム」とは?

この記事の監修

二級建築士 一級建築施工管理技士/課長 紀熊
二級建築士 一級建築施工管理技士/課長紀熊

こんにちは。
カツデン販促企画部の日高です。

本記事では、2025年3月にリリースした「ヴィンテージプリズム」仕上げについて解説します!
アイアン家具(スチール家具)を検討している方は必見です。

ヴィンテージプリズムと通常の塗装の違い

通常のアイアン家具(スチール家具)は、何かしらの色で塗装されているものが多く、今なら艶消しブラックが圧倒的人気を誇っています。
とはいえ、それって金属本来の質感を活かしきれているか?と聞かれると、そうではない・・・
そこでカツデンは、新たな仕上げ方法を模索していく中で、このヴィンテージプリズムに辿り着きました。

トレンドは自然素材

展示場画像
写真:カツデン/住宅展示場

自然素材をインテリアデザインに取り入れることは、2020年頃からの継続的なトレンドです。
大手住宅メーカーの展示場デザインでも、真鍮色を採用したり、無垢材を採用したりと、自然素材をふんだんに配した空間がつくられています。

そんな近年のトレンドに合わせ、当社でも金属本来の質感を楽しめる「ヴィンテージプリズム」という仕上げが新しく誕生しました。

ヴィンテージプリズムとは?

ヴィンテージプリズムとは
写真:カツデン/鉄鉢(ヴィンテージプリズム)

ヴィンテージプリズムとは、色付きの塗料で表面を塗りつぶさず、スチール本来の質感を見せることで、素材そのものの風合いを楽しむことができるカツデンオリジナルの仕上げです。

カツデンは、金属建材メーカーの中でもっとも溶接技術と仕上げ(研磨)技術に特化していると言っても過言ではありません。
通常は溶接痕(ビード)が出てしまうところを、見せないor削ることで、美しいプロポーションはもちろんのこと、ディテールまで美しい製品を実現しています。

通常は塗装で隠してしまう溶接や仕上げの痕をあえて見せることで、職人たちが丹精込めて手をかけた部分が見て取れ、ムラや色味に個体差が出る点が特徴です。
「工場で製造する」ことに対して、まったく同じものが大量に作られるイメージを持つ方が多いと思いますが、このヴィンテージプリズムの仕上げにより「世界にひとつだけの表情を持ちつつも、ディテールまで美しい」という相反する魅力を作り出すことができます。

近年の「アイアン調」という偽物感あふれる言葉にアンチテーゼを投げかけるような質感は、プラントボックス『鉄鉢(テッパチ)』スチールシェルフ『STELF(ステルフ)』鉄巾木『ハバテツ』に適用することが可能で、家具、設備の可能性を大いに広げます。

ハバテツ・STELF・鉄鉢

ただ塗装しないのと何が違うの?

さて、そんなヴィンテージプリズムですが、「スチールを塗装しない」ということではありません。
結論を先に言うと、艶消しクリア(透明)の塗料を使用しています。

スチールには加工しやすいメリットがある一方で、錆びやすい性質があります。
そのため、スチール本来の質感を見せながらも、耐食性能を確保する必要があり、その手段としてもっともメジャーなのは、塗装することです。

カツデンが普段採用している塗装方法は、粉体焼付塗装と呼ばれるものです。
粉体焼付塗装とは、パウダー状の塗料を静電気で製品に付着させ、窯で焼き上げて固着させる方法のこと。
ペンキやスプレーなどの溶剤塗装に用いられる有機溶剤を使用しないため、環境や人体への影響が小さいことはもちろん、塗装ムラが起こりにくく、高い強度と耐久性をもたせられることがメリットです。

カツデンは、レーザー加工機、プレスブレーキ機、溶接機などに加えて塗装設備を自社工場に完備しているため、すべて自社で完結することができる稀有なメーカーです。
それによって、機械加工、溶接、塗装のいずれかを外注している金属加工メーカーでは不可能な「ほぼすべての工程の品質をコントロールできる状態」を作り上げています。

そんな設備環境がヴィンテージプリズムの発見に繋がりました。

ヴィンテージプリズムは一見、スチールの素地がそのままのように見えますが、一連の流れの中で発生する独特の色味が非常に美しいことに気がついたのです。
もちろんそのままだと錆びてしまうため、前述した通りクリアの塗料でコーティングし、通常の塗装とほとんど変わらない耐久性能を付与できます。

建築、デザインのプロが食いついた質感

そのきっかけを作ったのは、OFF-FLATの細野隆仁氏
「金属」をテーマに空間を作っていく際に、カツデンとともに商品開発を実施。
錆、熱による変化、メッキ、研磨材ごとの削り痕など、金属の性質をさまざま試す中で、彼がとびきり食いついたのがヴィンテージプリズムの質感でした。
そこから先の細野氏の案件では、ヴィンテージプリズムの仕上げを使い、空間をプロデュースしていき、カツデン商品にも適用させるべく動くことになるのでした。

今回リリースしたのは、試作したあらゆる商品の中で、もっとも質感が伝わりやすいものとして「第一弾」というイメージです。
今後、ご要望があればヴィンテージプリズムを適用しても問題ないか、価格に転嫁させる必要があるのかを検証したうえで、第二弾、第三段とリリースしていく予定です。

そんな良い話ばかりしていましたが、しかしその一方で、注意すべき点もあります。

採用する前に知っておいてほしいこと!

ヴィンテージプリズムが通常の塗装と異なる点として、以下の2つが挙げられます。

色味や風合いが毎回異なる


写真:カツデン/鉄鉢(ヴィンテージプリズム)

ムラ感や色味に個体差が出ることで、世界にただ一つしかないものだということをメリットの1つとして前述しましたが、裏返せば模様や風合いが意図しない形になるということです。
溶接、研磨をすべて手作業で行っているので、その痕には個体差が発生します。
また、塗装に至るまでの工程において、表面の色味も毎回少しずつ異なります。
写真やサンプルで見たもの通りのものが作れる訳ではありません。
木材等の自然素材と同様に、ムラ感をその製品の味として愛せる方に使っていただければ幸いです。

色が経年とともに変化していく可能性がある


写真:カツデン/錆の発生

表面をクリアで塗装しているため、通常の使用に耐えられるだけの耐食性能を誇りますが、塗料の内側にわずかに存在していた錆が広がり、経年とともに茶色っぽく色味が変化していく可能性があります。
これは、ヴィンテージプリズムに限らず、すべてのスチール製品で起こり得る現象です。通常は色付きの塗料の内側で起こっている変化なので気付きませんが、ヴィンテージプリズムの場合は、目に見える変化として発生します。
もちろん、製品の使用に支障をきたすほど錆が進行することはありません。

以上を踏まえた上で、ヴィンテージプリズム特有の風合いや変化をお楽しみください。

まとめ

今までにない新たなチャレンジとしてカツデンがリリースする「ヴィンテージプリズム」という仕上げ。
カツデンの経営理念には、「素材に学び、技術を向上し、美しく快適な空間づくりを目指す」とあります。
今回のリリースをきっかけに、素材に学ぶことの大切さが金属加工メーカーとして重要なポイントであることを私は実感し、金属にはまだまだ可能性があると気付かされました。

実際に見てみないと伝わりにくい質感なので、全国のカツデンショールームへぜひお問い合わせください!
一度見たら、きっとあなたも欲しくなるはず!

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