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2024.01.10 コラム

リビング階段は寒さ対策が大切!断熱性・気密性を高める方法とは?

この記事の監修

二級建築士 一級建築施工管理技士/課長 紀熊
二級建築士 一級建築施工管理技士/課長紀熊

新居では玄関ホールではなくリビングに階段を設置することを検討しているものの、リビング階段は寒いのではないかと不安な方も多いのではないでしょうか。リビング階段でもきちんと寒さ対策を行えば、快適に過ごすことができます。

本記事ではリビング階段の寒さ対策について解説します。住宅の断熱性・気密性を高める方法についてもまとめました。

本記事を読むことでリビング階段の寒さ対策が分かり、安心してリビング階段を導入できるようになるでしょう。リビング階段に興味がある方はぜひお読みください。

リビング階段とは?


写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」

リビング階段とは、文字通りリビングに設置された階段を指します。リビングイン階段と呼ばれることもあります。

リビングは家族がみんなでゆっくり過ごすための場所として使われます。家族がコミュニケーションを取ったりご飯を食べたりするための場所です。また、客間がない場合、お客さんを招く場所としても使われることが多いです。

そのようなリビングに、階段を設置する事例が最近増えています。階段と言えば昔は、玄関ホールに設置するのが一般的でした。玄関ホールに設置すれば、帰宅後すぐに2階の個室に向かうことが可能です。

リビングに階段を設置すると、2階の個室に向かうためには必ずリビングを経由する必要があります。あえてリビングを経由することで、家族のコミュニケーションが増えるメリットがあります。このような理由で、リビング階段を導入する方が増えています。

リビング階段の主なメリット


写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」

リビング階段の主なメリットとしては次の3つが挙げられます。

  • 家族とのコミュニケーションが増える
  • 視覚効果でリビングを広く見せられる
  • リビングのおしゃれ感をアップできる

これらのメリットが良いと感じる場合なら、リビング階段を長く愛用できるかもしれません。1つ1つのメリットについて詳しく解説していきます。

家族とのコミュニケーションが増える

リビング階段を導入することは、家族のコミュニケーションを増やすことに繋がります。なぜなら、学校や会社から帰宅したとき、必ずリビングを経由して2階の自分の部屋に向かうことになるためです。

たとえば、キッチンで料理している間に子どもが帰ってきたら、声をかけることができます。また、学校帰りの子どもの様子を見ることができるので、何か学校で問題があった場合にもすぐ異変に気がつけるでしょう。

思春期になると帰宅後すぐ自室にこもってしまう子も多いので、家族の会話を減らさない家づくりを最初から心がけることは大切です。

視覚効果でリビングを広く見せられる

リビング階段は吹抜けと組み合わせると開放感が高まります。1階から2階が見えるようになり、縦に広い印象になります。

リビングの開放感を高めることで、家族がより気持ちよく過ごせるようになります。自然とリビングに集まるようになり、家族のコミュニケーションが更に増えることでしょう。

開放感を高めたいなら、シースルー階段を選択するのがおすすめです。シースルー階段とは、蹴込み板がなく段板と骨組みのみで構成された階段を指します。蹴込み板をなくすことで階段によって視界が遮られることがなく、リビングがさらに広々とした印象になります。

リビングのおしゃれ感をアップできる

リビングに階段を設置することは、住宅のおしゃれ感を高めることにもなります。階段はリビングの良いアクセントになってくれます。

階段はさまざまな素材から作ることができます。素材によって階段の印象が変わります。たとえば、木で作ればナチュラルな雰囲気になりますし、スチールで作れば引き締まった雰囲気になります。リビングの空気感に合った素材を選択すると良いでしょう。

他には、らせん階段を選択してゴージャスな雰囲気にしたり、片持ち階段にしてリビングに段板が浮いてるような不思議な感じにしたり、段板をガラスにして軽やかな印象にしたりすることも可能です。

ただし階段メーカーの製品によって、選択できる階段の素材や形状、色などは決まっていますので、どのようなカスタマイズができるのか事前に確認しておくことが大切です。

また、デザイン性が低い階段を設置してしまうと、むしろ住宅のおしゃれ感が下がってしまうので注意が必要です。安価な階段製品の中には塗装や溶接の質が低いものもあります。値段だけでなく、デザイン性も重視して階段を選ぶことが大切です。

リビング階段は寒さ対策が重要な理由


写真:省エネ性能・冷暖房能力…エアコン選びのためのカタログの見方
ネット出典:UP LIFE

ここまでメリットを解説してきましたが、リビング階段にはデメリットももちろんあります。代表的なメリットとして、冬場は寒いと感じやすいことが挙げられます。

暖かい空気は冷たい空気よりも軽いため、上に昇る性質があります。そのため、リビングに階段を設置すると、エアコンの風が階段を通じて2階に行ってしまいやすくなります。

とはいえ、きちんと寒さ対策を行えば、冬場でも快適に過ごせるようになります。具体的にどのような対策を行えば良いのかは、次の項目から詳しく解説していきます。

リビング階段でも寒くないようにするには断熱性・気密性を高めることが大切


写真:断熱・気密・換気の関係性
ネット出典:記す家

リビングの寒さ対策の基本は、住宅の断熱性・気密性を高めることです。断熱とは家の中から外へ、外から中への熱を遮断することで、気密は住宅の隙間をなくし空気の移動を抑制することです。断熱性・気密性を高めることで、エアコンも効きやすくなります。

最近の住宅は断熱性・気密性が向上しており、リビング階段でも思ったより寒さが気にならない場合もあります。とはいえ、寒い地域であれば寒さ対策は必要です。また、2023年に電気代が値上がりしたこともあり、できるだけエアコンの温度を下げて過ごしたい方も多いでしょう。

断熱性・気密性をより高められるよう、施工前に考えることが大切です。

住宅の断熱性・気密性を高めるポイント


写真:高断熱・高気密住宅の特徴
ネット出典:東北電力

住宅の断熱性・気密性を高めるポイントは次の3つです。

  • 複層ガラスの窓を採用する
  • 樹脂サッシを選択する
  • 壁・天井・床に断熱材を入れる

これらのポイントを意識することで、リビングに階段を設置した場合であっても、冬場を快適に過ごせるようになります。1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。

複層ガラスの窓を採用する

住宅の中でも熱の出入りが多いのは窓ですので、断熱性の高い窓を採用することは大切です。窓の断熱性が低いと、暖房の熱が外に逃げ出してしまいます。

断熱性を高めるポイントは、ガラスが2枚(ペアガラス)の窓を選択することです。ガラスとガラスの間に空気の層ができて、熱の移動を抑えてくれます。

また、ガラスが3枚(トリプルガラス)になっている窓もあります。3枚になることで空気の層が2つできるため、さらに熱の移動を抑えてくれるようになります。

ただし、トリプルガラスにすると初期費用が高くなってしまいます。また、ガラスが増える分、重くて開閉が大変になるデメリットもあります。このあたりの点も考慮して、ペアガラスにするかトリプルガラスにするか決めることが大切です。

樹脂サッシを選択する

窓だけでなく窓枠として用いるサッシを工夫することも、断熱性を高めるうえで大切です。

サッシにはアルミのものと樹脂のものがあります。また、アルミと樹脂が複合したものもあります。日本の住宅に多いのはアルミのサッシですが、断熱性が高いのは樹脂です。樹脂は熱を伝えにくい性質を持っています。

ただし、樹脂サッシはアルミサッシに比べると価格は高めです。また、紫外線に弱く劣化が早まってしまうことがある点にも注意してください。

樹脂サッシ+トリプルガラスの組み合わせがもっとも断熱性が高いですが、デメリットも考慮して組み合わせを検討することが大事です。

壁・天井・床に断熱材を入れる

壁・天井・床に断熱材を入れるのも寒さ対策の基本です。断熱材とは、室内と室外の熱の移動を遮断するための建築資材を指します。断熱材を入れることで住宅の隙間が埋まるため、種類によっては断熱性だけでなく気密性も高めることが可能です。

断熱材は空気の層を内側に作ることで、熱の移動を抑えています。冬場の冷気を遮断してくれるのはもちろん、夏場も熱気が中に入るのを抑えてくれます。

断熱材はさまざまな素材から作られますが、日本の木造住宅では「無機繊維系」と「発泡スチロール系」が多いです。「無機繊維系」はガラス繊維から作られます。繊維を絡み合わせることで空気を閉じ込め、熱の移動を抑えています。「発泡スチロール系」はプラスチックから作られます。発泡スチロールのように中の気泡によって空気を閉じ込めています。

なお、断熱材の素材などは施工会社によって決まっており、施工主が自由に選択できることは少ないです。そのため、断熱材の素材にこだわるのであれば、施工会社を選ぶ際に会社が用いる断熱材の種類まで調べておく必要があります。

局所的な断熱性だけを求めるなら、熱伝導効率を比較して、低い発泡スチロール系を選ぶべきですが、施工方法、劣化しにくさ、工期、価格などのバランスを考えて決めるようにしましょう。

リビング階段を設置した場合のその他の寒さ対策


写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」

住宅の断熱性・気密性を高める以外にも、寒さ対策はいくつかあります。効果的な寒さ対策としては次の2つが挙げられます。

  • シーリングで空気を循環させる
  • 床暖房にする

好みや住む場所の気候に応じて、これらの寒さ対策も行うことをおすすめします。1つ1つの寒さ対策について詳しく解説していきます。

シーリングで空気を循環させる

エアコンの効きを良くしたいなら、天井にシーリングを取り付けるのがおすすめです。シーリングが回転することで、エアコンから排出された空気が2階に向かうことを防げます。シーリングの電気代はそこまで高くないので、節電効果があります。

また、存在感のあるシーリングはインテリアとしても優れています。シーリングはホテルなどでよく見かけますが、一般家庭に取り付けても良いアクセントになってくれます。

加えて、エアコンだけでなく空気清浄機が排出する空気も循環させてくれるので、効率的に空気を綺麗にすることが可能です。

このようにシーリングにはメリットが多いのですが、天井にあるため掃除が大変な点については注意が必要です。また、騒音に関してはそこまで気になることはありませんが、安い製品の場合は音が聞こえることがあるため、事前にレビューなどを確認しておきましょう。

床暖房にする

寒さ対策を徹底したいなら、思い切って床暖房にするのもおすすめです。「寒さは足元からくる」という言葉がありますが、床暖房を導入すると体感的に暖かくなります。また、床暖房は火を使わないので安全性が高いのもメリットです。

床暖房には「電気式」と「温水式」の2種類があります。「電気式」は床下に電熱線ヒーターを仕込むタイプです。「温水式」は熱源機で温めたお湯を循環させるタイプです。「電気式」は初期コストが安く、「温水式」はランニングコストが安いのが特徴です。

床暖房のデメリットとしては、暖まるまで時間がかかる点が挙げられます。この点も考慮しつつ、床暖房の導入を検討してみてください。

まとめ

本記事ではリビング階段の寒さ対策について解説しました。リビング階段でも冬場快適に過ごすためのポイントがお分かりいただけたかと思います。

リビングに階段を設置すると、エアコンの温風が2階に行ってしまい、寒いと感じる場合があります。最近の住宅は気密性・断熱性が高まっていますが、心配な方は本記事で解説した寒さ対策を行うことをおすすめします。

リビング階段には、コミュニケーションの取りやすさ、リビングの開放感アップなどメリットも多くあります。「寒そうだから」という理由だけでリビング階段を諦めてしまうのはもったいないです。しっかり寒さ対策を行えば、リビング階段の良い面を感じることができます。リビング階段の導入を前向きに検討していただけますとありがたいです。

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