新居をリビング階段の間取りにしたいと思っているものの、「リビング階段をやめてよかった」と感じた方もいることを知り、悩んでいるという方もいるのではないでしょうか。確かに、リビング階段が合わないと感じる方もいます。憧れだけでリビング階段を導入せず、リビング階段のメリット・デメリットをよく理解することが大切です。
本記事ではリビング階段を「やめてよかった」と思う理由とその対処法について解説します。また、リビング階段のメリットについてもまとめました。
本記事を読むことでリビング階段導入後に後悔することがなくなります。リビング階段に興味がある方はぜひ参考にしてください。
リビング階段を「やめてよかった」と思う理由とその対処法
写真:カツデン/立体トラス階段「DEROUS」
リビング階段の間取りにすることを一時検討したものの、止めてしまう方はいます。リビング階段を「やめてよかった」と思う理由として、次の4つが挙げられます。
- リビングを経由しないと2階に上がれない
- リビングが寒い
- 匂いや音が2階に伝わる
- 来客対応が難しくなる
確かにこれらは、リビング階段のデメリットであると言えます。これらのデメリットがあることを知らずにリビング階段を導入すると、後悔することもあるでしょう。しかし、これらのデメリットには対処方法もいくつかあるので、そちらも併せて紹介します。
製品紹介 詳細リビングを経由しないと2階に上がれない
リビング階段の間取りにすると、リビングを経由しないと2階に上がれなくなってしまいます。階段は玄関ホールに設置する場合も多いですが、玄関ホールなら2階の個室と玄関の行き帰りがスムーズになります。
リビング階段の場合、生活動線が長くなり、忙しい朝の時間がさらに慌ただしくなるかもしれません。1階の洗面所やトイレに行くのにも、リビングを経由しないといけなくなります。また、家族が物理的にすれ違う頻度が増えるのもストレスを感じることがあります。
加えて、学校や会社から帰ってきた後も自室には直行できず、リビングを経由することになります。生活動線が長くなるのもそうですが、家族と嫌でも顔を合わせないといけないのも難点です。喧嘩した直後などは、気まずい思いをすることもあるでしょう。
対処法:階段の場所をリビングの入り口付近にする
対処法としては、階段をリビングの入り口付近に設置することが挙げられます。階段をリビングの中央や奥に設置すればその分導線が長くなりますが、入り口付近に設置すれば玄関ホールに設置した場合とさほど導線の長さが変わらなくなる場合もあります。
また、入り口付近に設置すれば、家族と喧嘩中の場合はさっと2階に上がることが可能です。もちろん、家族のコミュニケーションの機会は減ってしまいます。とはいえ、家族が帰宅したことは分かるため、軽く声をかけることはできます。リビング階段の魅力が完全に失われるわけではありません。
リビングが寒い
「リビング階段は寒いから止めた方が良い」という意見も聞くことがあります。
リビング階段は吹抜けに設置する場合が多いです。吹抜けは2階とリビングが繋がっているため、エアコンの風が2階に昇ってしまいやすいです。暖かい風は軽いので、上に昇っていく性質があります。
ただ、最近の住宅は断熱性・気密性に優れています。昔の住宅よりもエアコンが効きやすい省エネ住宅になっていることが多いので、それほど気にすることはありません。
とはいえ、寒い地域に住んでいる場合は、寒さ対策を行った方が良いでしょう。
対処法:住宅の断熱性・気密性を更に高める
住宅の断熱性・気密性を更に高めたいなら、窓をペアガラス・トリプルガラスにする方法があります。ペアガラスはガラスが2枚になっており、間に空気の層を作ることで熱の移動を遮断しています。冬場の冷気を遮断してくれるので暖かくなります。トリプルガラスは3枚に増えており、空気の層が2重に作られるため、より断熱性を高めることが可能です。
また、樹脂サッシを選択することをおすすめします。窓のサッシには樹脂サッシとアルミサッシの2種類がありますが、樹脂の方が断熱性に優れています。日本ではアルミサッシの方が採用率が高いですが、北海道などの一時地域では樹脂サッシが多く使われています。
いずれの対策も費用はかかってしまいますが、その分効果はありますので導入を検討してみてください。
匂いや音が2階に伝わる
リビング階段×吹抜けの場合、匂いや音を遮るものがなく、直接2階まで伝わってしまいます。キッチンの匂いが2階まで伝わってしまい、睡眠時に気になる場合もあります。また、リビングのテレビや話し声が聞こえてきてうるさいと感じる場合もあります。
ただ、匂いや音にどの程度敏感かは人によります。家族によっては、そこまでデメリットに感じない場合もあるでしょう。家族に敏感な方がいないか事前に確認することが大切です。
対処法:住宅の間取りを工夫する
匂いや音の問題に関しては、住宅の間取りを工夫することで解決する場合があります。キッチンと階段の位置を離し、換気しやすい窓を配置すれば匂いが昇ってこなくなります。
また、テレビと階段の位置も離し、更に音に敏感な家族の寝室と階段の位置も離せば、うるさいと感じなくなります。加えて、個室に置く収納の位置も工夫しましょう。玄関側に物が入った収納を移動させれば、1階からの音をある程度遮断してくれます。
それでもうるさいという場合は、個室を防音ドアに替えるのもおすすめです。防音ドアはゴムパッキンによって隙間を防ぎ、外部からの音を遮断します。
来客対応が難しくなる
リビング階段は来客対応が難しい、という意見も多くあります。来客対応と一口にいっても2パターンあります。この2つでは対処法が異なります。
①お客さんをリビングに招く
②お客さんを各個室に招く
①の場合、お客さんがリビングにいる間、家の中を移動しにくいという問題があります。1階の洗面所などに向かうには必ずリビングを経由するわけですから、お客さんに見られてしまいます。洗面所に顔を洗いに行くだけでも、部屋着から着替える必要性が出てきます。
②の場合、リビングの状況を見られてしまうという問題があります。たとえば、リビングが散らかった状態なのに、子どもが自室に友達を呼ぶ場合があります。また、リビングでだらしない格好でくつろいでいるときに、急に子どもの友達が来る場合もあるでしょう。
対処法①:ゲストルームを設ける
①の問題は、ゲストルームを別途設けることで解決します。玄関付近にゲストルームを設置し、リビングには招かないようにすれば、家族が遠慮なく家の中を移動できます。
もちろんゲストルームを設ける場合、家のスペースがその分圧迫されてしまいます。とはいえ、玄関付近にゲストルームがあれば家の中を見られることがないですし、来客対応が非常に楽になります。来客頻度が多い場合は導入を検討してみても良いでしょう。
対処法②:家族で連絡を取り合う
②に関しては、対処法が中々難しくはあります。ただ、家族で連絡を取り合う、というのが1つの解決策にはなります。「明日は◯時に友達を家に呼ぶね」と事前に連絡するようにルールを設けておけば、慌てることなくリビングの片付けを行うことができます。
後は、階段をリビングの入り口付近に設置する手もあります。入り口付近に設置してもリビングの様子を隠すことはできませんが、リビングでくつろいでいる最中に目の前を横切られるということはなくなるため、お互いにあまり気を遣わずに済みます。
リビング階段にはメリットもある
写真:カツデン/シースルー階段「FRIS」
「リビング階段をやめてよかった」と感じる方もいる一方、「リビング階段にして良かった」と思う方もいます。階段をリビングに設置することには、多くのメリットがあります。代表的なメリットは次の3つです。
- 家族のコミュニケーションの機会が増える
- 吹抜けにするとリビングの開放感が高まる
- 階段をインテリアの一部として取り入れられる
1つ1つのメリットについて詳しく解説していきます。
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家族のコミュニケーションの機会が増える
リビング階段にすることで、家族のコミュニケーションの機会が増えるメリットがあります。2階の自室に入るには、必ずリビングを通らないといけません。そのため、家族が顔を合わせる機会が自然と増えます。
先ほどは「リビング階段だと喧嘩している最中に気まずくなる」と解説しましたが、「仲直りの機会が生まれる」というメリットとも捉えることができます。また、子どもが学校で何か問題があった場合も、すぐに異変に気がつくことができます。
さらに、リビングから2階にいる子ども達に声をかけやすいのもメリットです。たとえばご飯ができたとき、2階に行かなくてもリビングから呼ぶことができます。
吹抜けにするとリビングの開放感が高まる
リビング階段は吹抜けとの相性が良いです。吹抜けとは上下の階が繋がっている空間を指します。吹抜けに階段を設置することで、リビングが縦に広々としているように見えます。
また、吹抜けにすると2階の窓からの光が1階まで差し込んでくるようになります。自然光を毎日自然と浴びれるようになると、より快適に過ごせるようになります。
階段をインテリアの一部として取り入れられる
リビング階段にすると、階段をリビングのインテリアの一部として取り入れることが可能です。おしゃれな階段をリビングに設置すれば良いアクセントになってくれます。
階段製品にはインテリアとして優れているものも多くあります。たとえば、らせん階段にしてゴージャスな雰囲気にしたり、手すりをスチールの細いものにしてシャープな印象にしたりすることができます。自宅の雰囲気に合ったデザインの階段を選ぶと良いでしょう。
もちろん、インテリア面にこだわると費用もかかってくるため、予算とのバランスを考慮して考えていくことが大切です。
リビング階段導入後に「やめてよかった」と思わないためののポイント
写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
最後に、新居に引越した後に後悔しないためのポイントを紹介します。ポイントは次の2つです。
- 家族の状況や住む地域を考慮する
- 全員の生活動線を考慮して間取りを決める
リビング階段を導入する・しないに関わらず、この2つのポイントを意識することは重要です。1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。
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家族の状況や住む地域を考慮する
家族の状況や住む地域を考慮して、リビング階段の導入の仕方を決めることが大切です。
リビング階段には「寒いと感じやすい」「匂いや音が2階まで届く」などのデメリットがあると解説しました。しかし暖かい地域に住んでいるなら寒くありませんし、匂いや音に敏感な方が家族にいない場合もあります。そのような場合、特に対策は必要ないと言えます。
反対に、家族の状況や住む地域によっては、これらのデメリットが大きく関わってくるため、対策をしっかり行わないと後悔することになります。
全員の生活動線を考慮して間取りを決める
家族全員の生活動線を考慮して、間取りを決めることが大切です。住宅の間取りを決める際はまず、階段をリビングのどこに置くかを決めます。そして、キッチンや収納スペースなどの場所を決め、家具・家電の置き場所も固めていきます。
間取りを決める際に生活動線を考慮しないと、住んでみて不便さを感じることが多くなります。たとえば、家事をこなす際にあちこちに移動しなくてはならず、時間がかかってしまう。収納スペースの場所が遠くて片付けが面倒になり、出しっぱなしになってしまう。このような問題が起きる可能性があります。
家族の生活動線・家事動線を書き出してみて、間取りに問題がないか確かめてみましょう。
まとめ
本記事では、リビング階段を「やめてよかった」と思う理由と対処法について解説しました。リビング階段を導入した方はどのような点に後悔しているのか、またそれらにはどのように対処すれば良いのか、お分かりいただけたかと思います。
リビング階段が合う家族・合わない家族がいることは確かです。ただ、デメリットに対する対処法を知っておくことで、デメリットが解消する可能性もあります。リビング階段は、コミュニケーションの取りやすさや開放感の高さなどメリットも多くあるため、デメリットだけを気にして導入をためらうのはもったいないと言えます。