はじめまして。
営業部の中島です。
関西出身なのですが、入社以来ずっと東京の本社勤務なので、「東京の雰囲気に染まってもうたな・・・」と地元で言われてしまう日をビクビクしながら過ごしています。
これを書いている現在は入社してから3年目で、後輩の育成や業務フローの見直しなども着手しつつあり、徐々に仕事の幅を広げてきています。
さらにその仕事の幅と知見を広げるためという親心でしょうか。
このたび本社移転プロジェクトの一員になり、2019年の6月に移転が完了するまでの半年間は営業部の仕事とそのプロジェクトで怒涛の日々を送っていました。
もともとの、いかにも中小企業らしいオフィスから現在のちょっとイケてる雰囲気のオフィスにするまでの過程と、その後どういうことが起こったのか、というところまでを語っていこうと思います。
少し長くなりますが、多くの中小企業が抱える課題を解決できる可能性があるのでは?と感じたので、お付き合いいただけると幸いです。
目次
1.移転の理由
2.理想のオフィスとは?
3.コンセプト決定
4.オフィスデザイン
5.運用ルールの制定
6.移転後の効果
7.まとめ
1.移転の理由
本社移転を決定づけたのは下記の2つの要因でした。
・賃貸契約更改のタイミングだった
・人員増加に伴い手狭になった
それに加えて、改めてカツデンアーキテックという会社のことを考えたときに、「美しく快適な空間づくり」を経営理念にしているにもかかわらず、本社がそれとは程遠い形になってしまっていました。
人口密度が高くなったことで、息が詰まる空間になってしまい、特に本社に常駐する社員に余裕がなくなっていったのです。
他にも後述する様々な課題があり、それらを解決するためのオフィスとはどのようなものかを考えていくことになりました。
2.理想のオフィスとは?
まず、現状の本社への不満を各社員にアンケートを取って洗い出しました。
以下はその意見の一部です。
・近隣に多くの営業先があるが、製品を見せられる環境がない
・人との距離が近すぎる
・会議室が1つしかない
・10年分の蓄積された書類が整理されずに収納されている
・会話すべき職種と集中すべき職種が近すぎて働きにくい
・デスクの使い方が汚い人がいる
・ダサい
・誰かがイライラしていると伝わる
・駅から少し遠い(最寄り駅から徒歩10分)
予算や物理的な都合上、すべてを解決することは不可能なので、新しい本社で実現すべき課題の優先順位をつけることにしました。
①今より1.5倍ほど面積を広くする
②ストレージ(収納スペース)を大きく作る
③どの職種にとっても居心地の良い空間にする
④駅から近い場所にする
「何に不満があるのか?」をベースにしたことで目的が明確になります。
①②は、増員可能になることによる売上UP
③は、ヘルスケア、業務効率UP
④は、通勤負担の軽減、周辺環境による労働意欲UP
3.コンセプト決定
ここまで、社員目線で「どんな本社を実現したいか?」という軸で話を広げてきましたが、これだけではコンセプトにはなりません。
会社として「どのように働いてほしいか?」「どのような価値を顧客に提供できるか?」という目線も含めて方向性を決めていくことになります。
まず「どのように働いてほしいか?」に関しては、当社もご多分に漏れず、残業時間が大きな課題でした。
そのため社員に対して時間と場所にはお金がかかっていることを肌で感じてもらい、本社移転を通して労働時間を短縮させるための仕組みづくりを進めていくことになりました。
次に「どのような価値を顧客に提供できるか?」に関して。
ここ数年で新設や移転をしたカツデンアーキテックの営業所(横浜、千葉、福岡、広島)には、製品を見て触れる「ショールーム機能」があり、希望者は立ち寄って見学できます。
しかし多くの顧客となる企業やエンドユーザーが周辺に多く存在する本社にはそれがありませんでした。
そこで住宅のリビングルームを再現し、その場で当社の製品が実際に設置された空間を体験できるスペースを作ることが決まりました。
以上が「やること」ですが、一言で表現できるコンセプトがないと軸が定まりません。
通常はここに多くの時間を割いてしまいますが、当社にはぴったりな言葉が経営理念にありました。
「美しく快適な空間づくり」
コンセプトを決めたことでデザインに落とし込みやすくなり、本社移転プロジェクトのメンバーたちの共通認識が生まれていきました。
4.オフィスデザイン
「美しく快適な空間」を実現するために最も時間をかけたのは、お客さんが訪れ、見学できるエントランス部分。
当社のスチール製シースルー階段を設置した上で、ソファなどの家具を置いてリビングを再現。
その空間には高級感を持たせ、全製品を片っ端から設置するようなことはせず、スッキリとした印象にしようとなりました。
その空間にそぐわない他の製品は、リビング再現エリアとは別の場所に展示。
この空間は来客用の「ギャラリー」と呼ぶことになりました。
次に頭を悩ませたのは、自分たちが利用する執務スペース。
面積が広くなるとは言え、今までと同じデスクの置き方では居心地の良い空間にはならないだろうと考えました。
そこで、執務スペースにもKastomWallやテーブルなど、オフィスを快適にする自社製品を入れました。
さらに、スペースを有効活用し、常に整頓された状態を保つためにフリーアドレス制を導入することにしました。
荷物は個人ロッカーと共有ストレージに格納し、自分が使用している時間以外は出したままにしてはいけない状況を作りました。
特に在席率が低い営業職にとって大きく環境が変わり、席が固定のときよりも広いスペースを使えたり、軽いミーティングができるようになります。
フリーアドレス制になることで、個人が持てる資料が少なくなります。
決められた場所で仕事をしないことで、チャットを中心としたオンラインでのコミュニケーションが活発になることも狙いのひとつでした。
そうすることで、資料のデータ化と通常業務においてのペーパーレス化を実現できると考えたのです。
そのため移転までの半年間で、過去資料のデータ化を行い、以降の資料はデータのみで保持することにしました。
新本社ではストレージの総容量は増えるものの、無駄をなくし効率よく場所を使うために、全ての棚を部署ごとに振り分け、処分するか否かを各部署の担当者が決めるようにしました。
また各部署で引越し時に持ち込める容量を決め、不要なものを捨てさせたことは、多少の強引さを伴いましたが効果は高かったです。
5.運用ルールの制定
オフィスを移転してから良くあることが、「最初はキレイだったのに・・・」という状態です。
そこで必要になってくるのが、オフィスを使用する社員に適用させるルール作りです。
最初こそ「え、ルールなんか作るの?めんどくさいなあ・・・」と言いはしないものの、それに近い反応がありましたが、現在ではそのルールのおかげでキレイな状態が保たれています。
めんどくさがっていた社員にも、おそらく今では感謝されていると信じています・・・!
既述のルールもありますが、以下の条項が改めて決めたことです。
・個人の持ち物はすべてロッカーに収納
・使用していないデスクに物を置きっぱなしにしない
・資料は紙ではなくデータで保管
・ストレージは各部署ごとに管理
・ギャラリーでの飲食は禁止
・固定電話への社内通話は禁止、スマホへ直接かける
・通話が不要な伝言、連絡はチャットで行う
今思うと、これらが決められていなかったことが不思議ですが、ルール化したことで分かりやすくなり、行き場のないモヤモヤを抱えることが少なくなります。
6.移転後の効果
・通勤、外出の負担減少
御徒町駅から徒歩1分の立地になったことで、身体的・精神的な負担が減少しました。
・執務スペースの雰囲気
フリーアドレス化で社員が流動的になったことにより、コミュニケーションが活発に。
新入社員にとっても、雰囲気が明るく話しやすい空間になったとの感想をもらいました。
・キレイな状態をキープ
個人の持ち物をロッカーに片付けることをルール化したおかげで、共用で使う部分は移転時のキレイさを保っています。
ただし、個人用のロッカー内はカオス化している社員もいるとかいないとか・・・
・来客数(月平均)
10件→16件
新しくなったばかりで招きやすかったこともありますが・・・
この環境になったことで招待することに前向きになった社員が多くなりました。
・新卒内定辞退率(過去5年平均→2020年卒)
63%→25%
移転前の本社はいわゆる一般的なオフィスでしかなく、経営理念の「美しく快適な空間づくり」が働く環境にはなかったり、ディティールまでこだわったデザインの製品を製造していると語ったところで
「どのオフィスの会社が言うとんねん!」
とツッコミが来そうな状態でした。
移転後の本社では、面接に来たどの学生も目を輝かせ「こんなオフィスで働きたい」と思ってもらえるようになりました。
どこも人手不足に悩んでいる中、本社移転により当社に入りたい人物と入ってい欲しい人物がマッチしやすくなったのは、一番大きな効果です。
7.まとめ
本社を移転し、ルール作を作り、新たな試みをいくつか入れたことで、移転前に抱えていた課題のいくつかは解決することができたと考えています。
・オフィス自体が抱える課題(ハード面)
・働く人が抱える課題(ソフト面)
という、2つの異なる種類の課題を一緒にして考えてしまうと、何から手を付けていいか分からなくなっていたと思います。
そのときに今回の内装工事を手掛けたコスモスモアさんにもアドバイスをもらい、結果的に大満足なオフィスに仕上がりました。
あとはこれを維持していくことですね・・・
維持できずに何かしら問題が起きたときは、続編として書くことになるかと思いますが、そうならないことを祈るばかりです。
では、長文にお付き合いいただきありがとうございました!