

新居を吹抜け階段の間取りにしようか悩んでいる、という方も多いのではないでしょうか。吹抜け階段は開放感の高さが魅力ですが、導入にあたり注意しなければならない点もいくつかあります。
本記事では吹抜け階段とは何かについて解説します。吹抜け階段のメリット・デメリットや施工事例についてまとめました。
本記事を読むことで、吹抜け階段について知見を深められ、新居で導入するか決められるようになります。吹抜け階段に興味がある方はぜひお読みください。
吹抜けとは?

写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
吹抜けとは上階の床に当たる部分を設けず、上から下まで素通しに開放したスペースを指します。ショッピングモールなどでは1階から3階以上まで開放している吹抜けを多く見かけますが、一般住宅でも1階と2階を繋げる吹抜けを設ける場合があります。
一般住宅の場合、玄関やリビングなどに吹抜けを設けることが多いです。吹抜けを設けることで、縦に広く感じられるようになり、開放感を高めることができます。
吹抜けリビングは、住宅メーカーがおすすめする間取りでも上位に挙がり、ある程度の部屋の広さや予算に余裕がある場合に取り入れられることが多いです。
参考:マイホーム建設検討者が取り入れたい間取り・設備に関しての調査結果ご報告
吹抜け階段とは?
吹抜け階段とは文字通り階段と吹抜けを組み合わせることです。階段部分を吹抜けにすることで、開放感を高めることができます。
特にリビング階段の場合、リビングの開放感を高めるために、吹抜けと組み合わせるケースが多いです。
なお、くるくると旋回して昇るらせん階段の場合、階段の構造上吹抜けにする必要があります。
リビング階段と吹抜けを組み合わせるメリット

写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA」
リビング階段と吹抜けを組み合わせるメリットについて中心に紹介します。メリットは次の3つです。
- 開放感を高められる
- 採光性を高められる
- 風通しを良くできる
- 空間をおしゃれにできる
- コミュニケーションを取りやすくなる
1つ1つのメリットについて詳しく解説していきます。
開放感を高められる
吹抜けを組み合わせることで、リビングの開放感を高めることができます。1階と2階を繋げることで縦に広くなり、同じ面積でも視覚効果によって広く感じられるためです。
開放感を高めることでストレスを軽減し、同じ空間で長い時間を過ごしても居心地が良く、ポジティブなコミュニケーションが生まれる効果があります。逆に狭苦しい空間で過ごすことを想像すると、長い時間を複数人で過ごすと居心地が悪くなるのはイメージできると思います。
更に開放感を高めたいなら、シースルー階段を選択するのがおすすめです。シースルー階段とは、段板と段板を繋ぐ垂直の蹴込み板がない階段を指します。蹴込み板がないと階段が視界を遮らないので、よりリビングが広く感じられます。
また、階段の骨組みや段板の色を白系にすることにも効果があります。白は膨張色と言われており、目の錯覚によって空間を広く見せられます。
採光性を高められる
吹抜け階段は、場合によっては採光性を高められるメリットもあります。吹抜けの上階部分に大きな窓があれば、1階のリビングまで光を通してくれます。
自然光を多く取り入れることで快適に過ごせるようになりますし、日光による健康効果も得られます。また、昼間は電気を使わなくても明るくなり、節電になるメリットもあります。
なお、シースルー階段を選択すれば、蹴込み板が光を遮らなくなるので、更に採光性を高められます。吹抜けとシースルー階段と相性が良いと言えます。
風通しを良くできる
吹抜けの上階部分に大きな窓がある場合、風通しを良くできるメリットもあります。上階部分の窓を開けることで効率的に空気の入れ替えを行えます。
室内の空気を排出し外の新鮮な空気を取り入れることで気持ち良くなりますし、そこまで暑くない日は冷房を使わずに過ごせるようになります。
空間をおしゃれにできる
階段をインテリアの一部として取り入れられるのがリビング階段のメリットですが、吹抜けを取り入れることでおしゃれ感を更に高めることができます。
吹抜けにするとおしゃれなお店のような雰囲気になりますし、自宅でありながら非日常感も味わえます。また、吹抜けのある住宅は少ないためオリジナリティを出せますし、自宅に来たお客さんの目も引きつけます。
コミュニケーションを取りやすくなる
リビング階段を吹抜けにすれば、コミュニケーションも取りやすくなります。そこまで大声を出さなくても、リビングから2階の個室にいる家族まで聞こえるようになります。
たとえばご飯ができたときも、1階から個室にいる家族を呼ぶことができます。また、各自の生活音が聞こえやすくなり、家族の気配を感じられて安心できるメリットもあります。
リビング階段はリビングを経由して2階に昇るため、家族間のコミュニケーションが増えやすいのがメリットですが、吹抜けは更にコミュニケーションを促進してくれます。
リビング階段と吹抜けを組み合わせるデメリット

写真:カツデン/シースルー階段「FRIS」
リビング階段と吹抜けを組み合わせることのデメリットは次の4つです。
- 暖房が効きにくくなる
- 匂いが2階まで広がる
- 音が2階まで伝わる
- 掃除が大変になる
このようなデメリットもある点には注意が必要です。場合によっては吹抜けを設けない方が良い場合もあります。良い面・悪い面を両方知ったうえで判断しましょう。
1つ1つのデメリットについて詳しく解説していきます。
暖房が効きにくくなる
リビング階段と吹抜けを組み合わせると、暖房が効きにくくなってしまいます。
なぜなら、暖かい空気は上に昇り冷たい空気は下にとどまる性質を持っているためです。暖房の空気が上に昇ってしまい、2階の冷気が下まで降りてしまうため、吹抜けだと寒く感じることもあり、暖房の温度を上げざるを得ない場合もあります。
吹抜けの1番のデメリットではありますが、対処法はいくつかあります。まず、住宅の断熱性・気密性を高めることが肝心です。リビングの窓を複層ガラスにしたり、樹脂サッシにしたりするだけでも、断熱性・気密性は高まります。
他には、シーリングファンを導入するのも手です。シーリングファンで暖かい空気を循環させれば、寒いと感じにくくなります。見た目もおしゃれで存在感があるのでおすすめです。
後は、ランニングコストが上がってしまいますが、床暖房を取り入れる手もあります。
匂いが2階まで広がる
吹抜けを組み合わせると匂いが2階まで広がりやすくなります。キッチンが独立していない場合、料理の匂いが2階まで広がってしまい、就寝時などに気になる場合があります。匂いに敏感な人がいるなら特に注意が必要です。
対処法としては、キッチンを個室・半個室にしたり、性能の良い換気扇を取り付けたりすることが挙げられます。シーリングファンを導入して空気を循環させることは、匂い問題の解決にも有効です。
音が2階まで伝わる
音が2階まで伝わりやすくなるのも、吹抜けを組み合わせるデメリットです。たとえば、1階のテレビの音がうるさかったり、お客さんが来たときに話し声が気になったりする場合があります。音が原因で喧嘩になることもあるかもしれません。
対処法としては、防音性の高いドアを2階の個室に導入することが挙げられます。防音ドアは値段は高いものの、ゴムパッキンが隙間をしっかり埋めて音を遮断してくれます。
掃除が大変になる
吹抜け階段というよりは吹抜け全体のデメリットですが、掃除が大変になります。高いところの窓や照明器具をどうやって掃除するのか、事前に考えておくことが大切です。
高いところの掃除は、柄の長いモップや脚立を使わないといけませんが、脚立での掃除は危険が伴います。
また、窓の内側は良くても外側の掃除が難しいです。外側は庭から伸縮できるガラスワイパーやホースなどを使って掃除する手があります。ただ、隣家と距離が近いと水が飛んで迷惑がかかってしまう可能性もあります。
掃除に関しては清掃業者に依頼するのも選択肢の1つです。費用はかかりますが、プロに頼んだ方が綺麗になりますし、安全面の心配もしなくて済みます。
以上、リビング階段と吹抜けを組み合わせるデメリットを解説しましたが、デメリットも捉え方次第では魅力的な面になり得ます。暖房が効きにくい、匂い・音が広がるといった問題がある一方で、開放感がある、採光性・風通しが良いなどのメリットもあります。
メリット・デメリットを両方理解したうえで、吹抜けを取り入れるか決めましょう。
吹抜けを取り入れた住宅の事例
最後に、吹抜けを取り入れた住宅の事例を3つ紹介します。
- 吹抜けと吊るし照明が魅力的な住宅
- 吹抜けによってリビングが明るい住宅
- 大きな吹抜けで開放感が高い住宅
施工事例を知ることで、吹抜けの良さがよりイメージできるようになります。各事例について詳しく解説していきます。
吹抜けと吊るし照明が魅力的な住宅

1つ目はモノトーンを意識してデザインされた住宅です。白と黒でまとめられており、シンプルで清潔感があるのが魅力です。また、床のタイルも階段の雰囲気に合っています。
大きな吹抜けを導入することで、リビングの開放感が高まっていることが分かります。更に、シースルー階段にして蹴込み板をなくすことで、開放感が更に増しています。
リビングの吊るし照明も非常におしゃれで、目を引き付けるものになっています。
吹抜けによってリビングが明るい住宅

2つ目は吹抜けによってリビングの採光性を高めている住宅です。シースルー階段のため、吹抜けの窓から射してくる光が遮られることなくリビングまで届くのがポイントです。昼間は照明が必要ないほどリビングが明るくなるようです。
シースルー階段は、階段下がデッドスペースになってしまうという欠点はありますが、開放感や採光性を高められるなど多くのメリットがあります。
また、階段自体もおしゃれでインテリアの1つとして魅せるものになっています。シルバーの手すりと木製の段板が上手く調和しています。
大きな吹抜けで開放感が高い住宅

3つ目は「猫と家族が楽しく暮らせる家」がテーマの住宅です。大きな吹抜けを設けることで、開放感が非常に高まっています。更に、蹴込み板がないシースルー階段のため、開放感・採光性がより増しています。
こちらの住宅の吹抜け手すりは、標準よりも少し高い1.3mにしています。標準程度の高さだと、どうしても猫が飛び越えてしまうようです。猫にとっても家族にとっても安全で住みやすい住宅になっています。
また、階段のデザインもこだわり抜かれています。床材と同じ杉の段板を採用し統一感を出しています。骨組みの色は艶消しブラックを選択することで、落ち着いた印象にしています。
まとめ
本記事では吹抜け階段について解説しました。吹抜け階段のメリット・デメリットがお分かりいただけたかと思います。
リビング階段と吹抜けを組み合わせる事例は多いです。吹抜けと組み合わせることで、開放感をより高められます。また、採光性を高められたり風通しを良くしたりできるメリットもあります。
反面、暖房が効きにくくなったり、匂いや音が2階まで広がりやすくなるデメリットもあります。また、吹抜けの窓や照明の掃除方法についても事前に検討しておきましょう。
また、住宅の間取りや階段デザインを検討する際は、実際に施工した人の意見を調べることも大切です。本記事で解説した事例以外にも、カツデンのサイトには多くの施工事例が掲載されていますので、ぜひ参考にしてください。















