カツデンに入社してから大阪営業所一筋の岡﨑です。
実は私、「階段が好き」という理由でカツデンに入社したのです。
滝のように上と下をつなぐオンリーワンのものとして、子どものときから学生時代にかけて色んな階段を探しては眺めたり、写真を撮ったりして楽しんでいました。
今回は階段の種類についての内容ですが、いつかは「階段好きの私がオススメする階段Best10」とかを書きたいと思ってます!
早速ですが、階段って何種類ぐらいあると思いますか?
そもそもどうやってカテゴライズするものだと思いますか?
施主として家を建築するときは、「どんな階段を選べばよいのか・・・」と悩まれるそうで、そんなこと住宅系のメディアか何かで書いてないのかなと思って実際に調べると、階段の種類についてまとまった情報はありませんでした。
ということで、階段メーカーとして書かないわけにはいかないだろうと、筆を執らせていただきました。
階段には実はいろいろな名称がある
実際にカテゴライズしていこうとすると、実に様々な呼び方があることが分かりました。
当たり前のように私たちが口に出していたものも、人によっては伝わらなかったりします。
複数の呼び方もまとめて掲載するので、もし「こういう呼び方もあるよ!」というのがあれば、教えてください。
素材で区分
木
木の階段は日本人にとっては一番ポピュラーです。
実際に「実家の階段は木製だった」という方は多いと思います。
なんと日本の住宅の中で木の階段が占める割合は約95%にも上るとか!
建築する際に特に指定をしなければ、木の階段が一番手頃な値段で、なじみがあるため選ばれやすいのでしょう。
木の階段の良いところは、他の材料に比べて安いこと!
材料費はもちろんですが、加工しやすいことが安価な理由です。
スチール
英語では「Steel:鋼」と表し、「Iron:鉄」とは異なる金属です。
簡単に説明すると、鉱山から取り出した鉄鉱石から「鉄」を抽出し、さらにそこから炭素をはじめとする不純物を取り除いたものが「スチール」となります。
スチールになる前の「鉄」は思っているよりももろく、そのままでは加工がしにくいものなのです。
おそらく多くの方のイメージの中の「鉄の階段」は、このような非常階段ではないでしょうか?
スチール階段の特徴は、他の材料に比べて強度に優れているため、線の細いデザインを実現できることですが、日本の住宅で使用されているのはだいたい1〜2%程度。
ちなみにカツデンは、そのスチール階段を1〜2%の住宅の中で年間3,000件ほどを納めています。
ただ、値段はおおまかに木の4〜5倍となり、カツデンのスチール階段で一番安いものでも80万円程度です。
よく「車を買うかスチール階段を買うか」という比べ方をされます。
木に比べて加工の手間が多いので、その分高くなってしまいます。
アルミ
屋外に設置される階段に便利なのは、アルミ製の階段です。
カツデンでも『KD Spiral』という屋外用らせん階段を作っていますが、アルミ製の特徴は何と言っても錆びにくく軽いこと。
ただその反面、スチールに比べると強度が低く、同じ強度を実現しようと思うと3倍ほどの厚みを必要とします。
値段はメーカーによって異なりますが、スチールと同程度と考えて良いでしょう。
ステンレス
参照:EeStairs
ステンレスとは、正式名称を「Stainless Steel」。
その名前の通り「汚れにくいスチール」と言うことができるでしょう。
強度はスチールとほとんど同じですが、クロムとの合金のため、汚れにくい(=錆びにくい)という機能によって材料価格が高いことが特徴です。
アルミも同様ですが、錆止めのための塗装をしなくてよいため、屋外用の階段として使用されることが多いです。
室内用としても、金属感のある仕上げをされたステンレスの階段は、高価ながら時折設置されます。
形状で区分
直(鉄砲、ストレート)階段
階段メーカーとしては最も見栄えがする「直階段」を推してしまいます。
間取りや動線を考えると難しいケースもありますが、昇り降りしやすく階段のカッコよさを一番生かせる形状です。
ただ、足を踏み外すなどして落下してしまうと、一直線に下まで行ってしまうという点に注意です。
小さいお子様がいる家庭等では、しっかりと手すりを握れるようにした方が良いですね。
かね折れ(L字型)階段
家の形状に沿わせた「かね折れ階段」は、間取りを階段に合わせる必要がなく、設置する場所を選ばないため、多くの住宅で選ばれています。
曲がる部分に踊り場があれば、落下時に下まで落ちずに済むので安全性が増します。
折返し(U字型、ボックス、屈折、回り)階段
階段をコンパクトにひとまとめにするには、「折返し階段」が良いでしょう。
カツデンでも、『Uターン』というプランで注文をいただくことが多いです。
折返し部分が踊り場になっているケースと、階段になっているケースで呼び方が異なるケースもあるようですが、
「折返し階段」=踊り場あり
「回り階段」=踊り場なし
という使われ方が一番ポピュラーだと思います。
かね折れ階段と同じく、途中に踊り場を作った方が安全性がUPします。
中空き(コの字型)階段
折返し階段の中央を長くして踊り場が2つ作り、ゆったりと昇り降りできるように配慮したプラン、階段下利用をしやすくするプランで使用されます。
また、段数を稼ぐことで、蹴上を低めにする目的でも選択されます。
壁側に建築下地があれば、階段下には大きなスペースを作ることができるので、利用しやすくなります。
さらに使いやすくするために1段下げて頭をぶつけないように工夫されたりもします。
フローティング(片持ち)階段
定義が曖昧なのですが、段板が浮いているように見えるものを「フローティング階段」と呼ぶようです。
当社でいう『DANDEL』や『FRIS』ですね。
通常の階段は、段板を支えるために段板下や両側に「ささら桁」と呼ばれる部材がありますが、この「フローティング階段」の場合はそれをなくしたり見えづらくしています。
そのために段板が浮いているように見えるわけですね。
片側だけで支える「フローティング階段」を「片持ち階段」とも呼びますが、それは壁から離れるに従って揺れやすくなる点に注意です。
一方で『FRIS』のように壁とポールで支える形状であれば、逆にほとんど揺れません。
らせん(スパイラル)階段
アーティスティックな印象を与える「らせん階段」は、省スペースで空間を洗練させたイメージにすることができる優れものです。
カツデンの製品では、『Modelia』『WAVES Spiral』『KD Spiral』の3種類。
後述の「サーキュラー階段」と混同しがちですが、中心のポイントを軸に円を描くようにしてのぼっていく階段を「らせん階段」と呼ぶことが多いようです。(明確な定義はありません)
らせん階段は中心寄りの段板が狭く、踏み外しやすいため、注意が必要です。
必ず外側の手すりを掴みながら昇降するようにしましょう。
サーキュラー(アール)階段
豪邸のイメージとして、プール、テニスコート(?)、大きな庭に次いで思い浮かぶのは「サーキュラー階段」ではないでしょうか?
緩やかな曲線を描き、優雅な気分を味わえますよね。
大きなスペースを必要とするため、大きな敷地を持った一部の住宅にしか入れられない階段です。
実はカツデンでも、2015年ごろに「サーキュラー階段をノックダウン(組み立て式)工法で製作できないか?」という相談を持ち込まれたことがあり、開発を検討したのですが、強度面、デザイン面、安定した生産が困難であることが分かり、断念した苦い経験があります。
蹴込みあるなしで区分
箱階段
段板と段板の間の蹴込み(けこみ)があり、多くの日本人が思い浮かべる「普通の階段」です。
※蹴込みとは、段板と段板の間のつま先が当たる部分
「箱階段」を選択される住宅では、デッドスペースがないように設計し、階段下に収納やトイレなどをレイアウトされることが多いです。
壁紙を蹴込みにも貼ることができるので、空間の一体感を出ます。
狭小住宅などで、少しでも無駄なスペースを削ることを考えれば、階段下を利用しやすい「箱階段」がオススメです。
シースルー(スケルトン、ストリップ、オープン)階段
蹴込みがないおかげで視線が抜ける、透過性を重視した階段を「シースルー階段」と呼びます。
オープン階段・ストリップ階段・スケルトン階段など設計士やメーカーによって呼び方はさまざまですが、すべて同じ階段です。
「箱階段」と異なり、階段下を部屋として利用することはせず、あえてデッドスペースとして開放感を得ることを目的とするケースが多いです。
カツデンのスチール階段の多くはシースルー階段なのですが、空間を圧迫せずに光を採りこめるため、建築事業者からも一般のお客様からも圧倒的な人気を誇っています。
ささら桁の位置で区分
側桁階段
階段をささえる部材であるささら桁が、段板の両サイドにあるものを「側桁階段」と呼びます。
両サイドにあることで形状に融通が利きやすく、カツデンの階段の「側桁階段」は、『ObjeA』のセミクローズ、クローズ、ノコ、サンダーなどのささら桁がそれに当たり、ストレート、下/上曲がり、L型、Uターン、コの字・・・と、もっとも多くの間取りに対応しやすくなっています。
力桁階段
ささら桁が段板の下にあるものを「力桁階段」と呼びます。
カツデンでは、『ObjeA』のオープン、フォルテのささら桁がこれに当たります。
ささら桁が横にない分、「力桁階段」の方が幅を取りません。
ただ、曲がりには対応しづらく、3段や4段で曲がる形状の階段にするには設計工数が多くかかるためオススメしません。
まとめ
まず階段の種類を網羅しようとしたときに、呼び方が統一されていない、定義が曖昧なものがあることに改めて気が付きました。
当社が接することの多い住宅業界の方の中でも、設計の方と現場の大工さんで呼び方が違っていたり、昔と今で日本語と英語で違っていたりと、私自身「これとこれは同じものを指しているのか・・・」と認識するまでには時間がかかりました。
そのため、一般のお客様にとっては「?」がよぎることが多いと思います。
階段を選ぶときに「分からないからこれで良いや!」となって後悔してしまわないように、パパっとで良いのでこのブログを読んでもらえればと思います!