リフォームで階段に手すりを設置しようと思っているものの、設置費用がどの程度かかるか分からず不安という方も多いのではないでしょうか。
本記事では階段手すりの設置費用について解説します。設置費用を抑えるポイントについてもまとめました。
本記事を読むことで、階段手すりをより安い費用で導入できるようになります。手すりの導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
階段の手すりは法律で決まっている?
写真:カツデン/階段手すり
階段には基本的に手すりを設けなくてはいけないと、建築基準法第25条で定められています。建築基準法第25条の内容を次の4つに要約しました。
(1).階段の少なくとも片側には手すりが必要
(2).階段の手すりがない側には壁が必要
(3).階段の幅が3メートルを超える場合は中間に手すりが必要
(4).高さが1m以下の部分に設置する階段には適用しない
一般住宅で3メートルを超える幅の階段はほぼないので、(3)はひとまず気にしなくて良いでしょう。
階段には基本手すりが必要ですが、(4)のルールにより下の床から1メートルの部分は手すりや側壁が不要になります。ただし、安全性を高めるために手すりを設けるのも選択肢の1つです。
1メートルを超える部分には、少なくとも片側には手すりが必要です。手すりがない側には壁がないといけません。また、階段の両側にまったく壁がないのであれば、両側に手すりを設ける必要があります。
参考: 建築基準法施行令第25条(階段等の手すり等)と関連法令、判例
昔の住宅の階段に手すりがないことがある理由
現在住んでいる家や実家の階段には手すりがない、という方も多いのではないかと思います。手すりの設置が義務化されたのは平成12年からです。それ以前に建設された住宅の階段には手すりがないことも多いです。
平成12年に建築基準法が改正され、手すりを導入する必要が出てきました。
家を建てる際は基本、建築確認済証の交付を受けないといけません。その際、添付図面には手すりの設置を明記する必要があります。手すりがない場合は、審査に通らないため、家を建てることもできません。
手すり設置が義務化されたメリット
建築基準法の改正により、手すりを付けたくない場合も設置が強制されるようになりました。しかし、手すりの義務化は施工主にとってもメリットがあります。
まず、手すり義務化によって、製品の種類が豊富になりました。施工主は好みに合ったデザインの手すりを選択しやすくなっています。
製品紹介 詳細階段に手すりが必要な理由
写真:カツデン/階段手すり
階段に手すりが必要な理由として、次の3つが挙げられます。
- 転倒を防ぐため
- 楽に昇り降りするため
- 落下を防ぐため
1つ1つの理由について詳しく解説していきます。
転倒を防ぐため
階段の手すりは転倒を防ぐために必要です。手すりがあることで、階段で踏み外したときもとっさに掴むことができ、大怪我を逃れる可能性があります。両側に壁があるだけでは、とっさに掴むことはできません。階段で転倒し頭をぶつけた結果亡くなってしまう方もいるので、万が一のための備えは大切です。
階段で踏み外すのは不注意だけが原因ではありません。歳を取ると足腰の筋力が低下し、思うように足を持ち上げられないこともあります。そのため、高齢者の方がいる家庭では特に手すりを付ける重要性が高いと言えます。
楽に昇り降りするため
手すりに階段があることで、高齢者の方も楽に昇り降りすることができます。歳を取ると片足を上げた状態でバランスを取るのも難しくなります。手すりに捕まれば安定して昇り降りすることが可能です。
手すりがないと階段の昇り降りが億劫になり、2階の使用頻度が少なくなってしまう高齢者の方もいます。
落下を防ぐため
階段の横に壁がない場合、横からの落下を防ぐために手すりを設置する必要があります。足を踏み外したり立ちくらみがあったりして落ちてしまう可能性はあります。
建築基準法が改正される前に設置された階段の場合、片側には手すりも壁もない場合がありますが、安全性確保のために手すりを後付けすることも検討してみてください。
また、手すりによっては、横にバーが入っていたりパネルが付いていたりするものもあります。小さい子どもが横から落下するのを防ぐことができます。
製品紹介 詳細階段手すりの設置費用
写真:カツデン/階段手すり
階段手すりの設置費用は、手すりの本数や長さ、素材などによって大きく変わります。あくまで目安ですが、1階から2階までの手すりの場合、12万円程度〜という認識で良いです。手すり本体の価格は、1メートルのまっすぐな形状の手すりの場合、5,000〜25,000円程度です。
階段手すりの設置費用をできるだけ安くしたいなら、複数の会社から見積もりを取り、もっとも安い値段を提示してくれた会社に依頼するという手もあります。ただし、複数社から見積もりを取るのは手間がかかります。
また、手すりは安ければ良いというものでもありません。安全性やデザイン性のバランスを考慮しつつ、予算に合わせて選択することが大切です。
階段手すりの設置費用を抑えるポイント
写真:カツデン/階段手すり
ここからは、階段手すりの設置費用を抑えるポイントについて解説します。ポイントは次の2つです。
- 手すりの素材について検討する
- 補助金制度を利用する
2つのポイントを知っておくことで、場合によっては、階段手すりの設置費用を1/10に抑えられる可能性もあります。1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。
手すりの素材について検討する
階段の手すりはさまざまな素材から作ることができます。素材によって設置費用は大きく変わります。手すりの素材として多く使われているのは次の2つです。
- ①木
- ②スチール
各素材のメリット・デメリットを解説していきます。
①木
木はスチールに比べると素材として安価なのがメリットです。階段の手すりも木で作られることが多くあります。木の手すりは費用を抑えられるだけでなく、握ったときにあまり痛くなかったり、冬場でも寒くなかったりするのもメリットです。
木の階段はナチュラルな雰囲気を作ることができるのもメリットです。また、長く使うと色に深みや味わいが出てくるなど、経年劣化を楽しむことができるのも魅力と言えます。
②スチール
スチールも階段素材として使われます。木よりは値段が高い(4〜5倍程度)ですが、耐久性が高いことが大きなメリットです。耐久性が高い分、細いデザインも選択することができます。シンプルで洗練された印象になるため、インテリア階段の素材として人気が高いです。
スチールは木に比べると高いため、階段すべてをスチールで作ると費用が嵩む場合があります。予算に余裕がない場合は、手すりだけスチールにするのもおすすめです。手すりだけスチールにしても、スタイリッシュな雰囲気を十分に出すことができます。
補助金制度を利用する
条件に該当すれば、補助金制度を利用することで、設置費用を大幅に抑えられる可能性があります。手すりの設置費用を抑えられる補助金制度としては次の2つが挙げられます
- ①国の介護保険制度
- ②地方自治体の補助金
各補助金制度の詳細について解説していきます。
①国の介護保険制度
介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支え合う仕組みとして国が運営している制度です。対象者は限定されてしまうのですが、もし対象になるなら手すり導入費用をかなり抑えることができます。
介護保険制度の対象になるのは、65歳以上で、寝たきりや認知症などの理由で介護が必要な状態(要介護状態)である、もくしは基本動作はできるものの、日常生活を送るうえで他者の支援が必要な状態(要支援状態)である場合です。
加えて、40〜64歳までの医療保険加入者で、末期がんや関節リウマチなど加齢が原因とされる病気にかかってしまい、要介護・要支援状態である場合も対象になります。詳しい対象条件に関しては、「介護保険制度の概要」を参考にしてください。
参考:介護保険制度の概要
介護保険制度の対象になる方が家族にいる場合、必要な手続きを行うことで、手すり設置などの住宅改修にかかる費用の9割相当額が支給されます。限度額は20万円となっています。
たとえば、手すり設置に20万円かかった場合、18万円が支給されるため、自己負担額は2万円で済むことになります。申請方法や詳しい支給条件などは、「介護保険における住宅改修」を参考にしてください。
参考:介護保険における住宅改修
②地方自治体の補助金
自治体によっては独自の補助金制度を設けている場合があります。手すりの設置など、高齢者などに配慮した住宅改修を行う場合に、いくらか支給されます。たとえば大阪市には「高齢者住宅改修費給付事業」があり、改修費用のうち最大30万円まで支給されます。
自分が住んでいる地域にこのような補助金制度がないか調べてみましょう。なお、介護保険制度と併用できるかに関しては、自治体に問い合わせて確認してみてください。
製品紹介 詳細費用以外に階段手すりを設置する際に考えたいこと
写真:カツデン/シースルー階段「ObjeA PREMIUM」
階段手すりを設置する場合、費用だけでなく次の3つについても考えることが大切です。
- 安全性
- 握りやすさ
- デザイン性
単に安いだけの手すりは、安全性が低かったり握りにくかったりする場合もあります。費用だけでなくこれら3つの点も重視して手すり製品を選ぶことで、設置後に後悔することがなくなります。1つ1つのポイントについて詳しく解説していきます。
安全性
手すりは安全性に配慮したものを選択することが大切です。手すりを設置する高さは、75〜85cm程度が一般的です。少し腕を曲げた状態で掴める方が使いやすいです。ただ、高齢者の方がいる場合は、腰を曲げて昇り降りする関係で低めに付けた方が良い場合もあります。
握りやすさ
手すりは握りやすさも大事です。細すぎる手すりは握りにくく、太い手すりは握るのに握力が必要になってしまうので、適度な太さにすることが大切です。
また、手すりにはフラットバータイプと丸棒タイプの2種類があります。家族の方が使いやすい方を選択しましょう。
フラットバータイプは板のような四角い形状の手すりのことです。強く握らず、板にもたれながら歩くということも可能です。手すりをしっかり握るのが難しい高齢者の方でも使いやすいのが特徴です。
丸棒タイプは円柱の形をした手すりのことです。進行方向に手を滑らせることができるため、移動がスムーズになるのが特徴です。
デザイン性
手すりをせっかく設置するのであれば、デザイン性にもこだわりたいです。手すりは階段のパーツの中でも目立つので、手すりが変わると全体の印象が大きく変わります。住宅のイメージに合った形状やカラーの手すりを選択し、長く愛用できるものにしましょう。
また、手すりを固定する金物は、なるべく隠せるようなデザインにするのがおすすめです。金物の主張が激しいと、どことなく落ち着かない雰囲気になってしまいます。
カツデンの階段手すり
カツデンはシースルー階段製品を販売している階段メーカーですが、手すり単体も提供しています。カツデンの階段手すりは、スチール製のシンプルで細い手すりとなっています。スチール階段だけでなく、木製階段にも合わせることが可能です。木製階段に合わせることで、スチールの引き締まった印象を階段に付与することができます。
カツデンの階段手すりは、形状バリエーションが豊富な点も特徴です。手すりに横桟やワイヤーが入ったものや、ガラスパネルが付いたものもあります。デザインの好みや安全面を重視して選択することが可能です。また、カラーバリエーションも10種類あります。
シャープなデザインでありながら、握ったときに痛くないように作られています。デザイン性と安全性の両立を実現した製品に仕上がっています。
製品紹介 詳細まとめ
本記事では階段手すりの設置費用について解説しました。階段に手すりが必要な理由や、設置費用を抑える方法などがお分かりいただけたかと思います。
階段手すりを導入する際は、国や自治体の補助金制度を利用できないか調べることをおすすめします。厚生労働省の介護保険制度などを利用できる場合、手すりの設置費用を1/10に抑えられる可能性もあります。
階段手すりは設置費用が安ければ良いというわけではなく、安全性やデザイン性も大切です。家族みんなが使いやすく、それでいて愛着が持てる手すりの設置を目指しましょう。