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KDATブログ
2020.06.09 商品開発

新商品開発秘話 Vol.5 『ObjeA』

シースルー階段 ObjeA

設計部の小島啓樹です。
前回はObjeA PREMIUMの開発秘話について書きましたが、今回はその設計のもとになったシースルー階段『ObjeA』について語りたいと思います。

今となってはカツデンアーキテックは「階段メーカー」として住宅業界で認知してもらっています。
屋外らせん階段『KD Spiral』という製品もありましたが、それほど注文数が多かったわけではありませんでした。
そういった意味では、今のカツデンアーキテックのイメージを体現するのは『ObjeA』開発以後と言えるかもしれません。

それは2002年のこと。
私が入社3年目、まだ若手と言われていたときに手掛けた大きな挑戦でした。

階段との出会い

当時、カツデンアーキテックの前身となるカツデン株式会社の建材事業部では、屋外用のアルミ製手すりの製造・販売が中心でした。
そんな中、とあるハウスメーカーから上がってきた要望。

「室内用のスチール製階段が欲しいが、その度に鉄工所に依頼するのではなく、規格化されたものをメーカーに頼みたい」

それまでアルミの外装部材しか扱ったことはなく、スチール製品を作るノウハウもない、設備も足りない・・・と、ないこと尽くしだったものの、大きな需要を秘めていると確信してプロジェクトをスタートしました。

未知の領域へのチャレンジ

さっそく開発部で集まり、案件のポイントを整理しました。
ハウスメーカーから求められたのは以下のテーマでした。

①スリムでスタイリッシュなデザインであること
②現場溶接や塗装が一切必要ないこと(ノックダウン工法)
③安定供給できるように規格化すること

さらに、1ヶ月後には初回の提案を求められていました。
らせん階段についての知識はあったものの、直階段は初めて。
まずは階段の資料を集めることにしました。
伝統的な木製の階段、建築雑誌に載っているオシャレな階段、ヨーロッパの階段、ハイテクビルの中の階段・・・
そして建築基準法で階段の定義を調べると、開発者にとっては実に曖昧なものでした。

あっという間に1か月が過ぎました。
手探りながらも、ある程度の自信をもってハウスメーカー担当者へ提案した図面でしたが、技術面もデザイン面も酷評を受け、その後試作品を提供したものの、結局その案件自体を別の業者へ転注されてしまいました。
外装と異なり、内装で設置される製品で求められるクオリティが根本的に異なることを痛感しました。

スチール階段づくりのノウハウを蓄積


一度スチール階段の仕事は絶たれてしまったものの、転注先のメーカーでも生産が追いつかないほどの売れ行きで、再度依頼が舞い込んで来ました。

今度は決められた図面を与えられ、それに合わせて製造することになったのですが、簡単なことではありませんでした。
スチールを加工できる設備はあるものの、溶接と仕上げに関しては専門外。
技術の高い協力会社に教えを請いながらも、作るたびにやり直しを繰り返し、注文が入るのに合格製品ができないのです。

当時を経験した社員は口を揃えて「修羅場だった」と言います。

なんとかその時期を乗り越え、室内用のスチール階段を作る基礎ができました。

自社ブランドの階段を
そんな中、世の中のトレンドが徐々に変わってきていました。
住宅を購入する年齢が徐々に下がっている中で、予算をかけられないことを理由に狭小地に建築する施主が多くなっていくであろうという予測が多くの住宅メーカーの共通認識としてあったのです。
土地が狭いなら、少しでも空間を広く演出したいはず。
そこで視界を遮らない階段が求められるだろうと考えました。
住宅メーカーからの案件を請けながら設計と製造の知識を蓄積し、自社オリジナルブランドとして『シースルー階段』の開発に着手することを決めました。

経験を重ね、開発の方向性が決まったものの、まだまだ課題は山積みでした。
家は1軒ごとに作りが違うため、そのすべてに対応できるための「ささら桁」「段板」「手すり」の組み合わせ。
さらにそれを組み合わせて現場で組み立てられるような構造で、当然ながら昇降に耐えらえる強度を実現しなくてはなりません。

特に手すりに関しては、最も改善が必要でした。
先述の案件では、溶接の際に少しでも歪んでしまうと納まらず、製作する際のボトルネックになっていました。
溶接部を少なくして歪んでも直せる柔軟性を持たせ、その上で溶接痕が見えないような仕組みにしなくては自社ブランドの製品として自信を持って送り出せません。

どれもが難題であり、試行錯誤を繰り返しながら年が明けました。

シースルー階段『ObjeA』発売

2003年1月。
ようやく図面が完成し、工場での試作が始まりました。

当然、試作でも課題がどんどん出てきます。

・現場で溶接をしなくて済むために考案した「抱き合わせ支柱」は現実的なのか
・段板固定部分の強度は問題ないのか
・「シースルー」デザインであると言えるのか
・ビスやボルトが緩むことはないか

また検証の日々が始まり、そこから半年。
最初の相談を受けてから1年後。
ようやくすべての課題をクリアし、販売可能なほどの品質に達しました。
ちょうどそのタイミングで、カツデン株式会社から建材部門を分社化することに。

カツデンアーキテック設立記念式典

2003年2月、「カツデンアーキテック株式会社」が生まれ、その記念すべき年にシースルー階段『ObjeA』は発売となりました。
このとき、最初にできあがったのが、現在では「クローズ」と呼んでいるささら桁です。

この後、徐々にデザインバリエーションを増やし、現在ではささら桁と手すり面材は7種類ずつ、段板は5種類、オプションは8種類と、様々な顧客要望に合わせて幅を広げてきました。

そして住宅設計に携わる方に安心してもらえるよう、独自の基準として「15万回の昇降に耐えられる」と銘打って、実際に強度試験を行い、レポートとともに売り込みました。
階段の強度基準というのは建築基準法等で定められていません。
そのため、その15万回というのは、住宅の法定耐用年数に合わせて
「4人家族が1日に5回ずつ、それを20年繰り返す」
という想定で定めました。

この強度試験の大変さというのも語りたいのですが、長くなってしまいそうです・・・
ひとつの試験を行うだけでも設備を作り、スペースを作り、機械を設計し・・・と、とにかく時間と人手と費用がかかるのです。

プロダクトに完成はない

今では年間3000件ほどの物件で階段と手すりを採用していただいていますが、最初の仕様のままでバリエーションを増やしただけではありません。
リリースした後で、社内外から様々なフィードバックが上がりました。
あるお客様からは「ボルトがむき出しになっているのがカッコ悪いから隠して欲しい」と。
営業からは「躯体側の誤差を多少はカバーできる設計をして欲しい」と。
社長からは「シンプルモダンを売りにするならば限りなく要素を減らそう」と。

実は『ObjeA』の仕様というのは、定期的に変わっていて、どんどんブラッシュアップされています。
また次回、『ObjeA』という製品がどのように変わっていったのかをご紹介する記事をUPしようと思います。

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