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はじめてヨーロッパを旅したのは大学に入ってすぐ、確か18か19歳の頃だったと思います。 だけど夜な夜な遊んでばかりいる友達と行くわけですから、とてもじゃないけどデザインについて熱く語ることなんてあり得ない。 2回目に行ったのは31歳のとき。お取引先のツアーで業界の工場や都市を2週間かけて見て回りました。ミラノからジュネーブ、バルセロナやパリにも行きました。 ツアーの3日目の出来事です。同じ大学のゼミ友達がウィーンにいるので、わたしは飛行機に飛び乗り、会いに行きました。10年近くウィーンに住む彼とふたりで街を歩きながら、ヨーロッパのデザインに対する考えを聞くのです。
いまでも覚えている彼の質問のひとつはこう。 「自分の土地に家を建てるだろ。その家のデザインは誰のものだと思う?」僕は「自分の家なんだから自分のもんだろ」と当然のように答えました。 ところが「家の外観は公共物。だから下手な建物は建てられないんだ」と彼はいうのです。 公共物の美に対する考え方が、日本と全然違うんですよ。
彼との出会いを境にして、残りのツアーをそのような目で見るから当然、得るものが違いますよね。 ツアーを終えて成田からスカイライナーに乗り、千葉の田園風景から都心に向かうにつれて徐々に街が広がるでしょ。 「ああ。自分はこんなに統制の取れていない、ぐちゃぐちゃなところに住んでいたんだ……」と驚愕しました。
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映画「ローマの休日」をご存じですか。 いまから60年ほど前の映画ですが、当時の街並みといまの街並みはほとんど変わりません。 撮影場所は旧市街ですが、その中で一番新しい建物は100年前のものですよ。日本では考えられない。想像を絶します。戦時中の日本ほどではないですが、世界大戦で空襲の被害を受けたにもかかわらず、見事に修復しています。汚くなったらすぐに取り壊して近代的な建物にする日本の発想と正反対。もちろんローマだって新市街はあって、そこはガラス張りの建物もありますよ。
残すものと壊すもの。その違いが何か分かりますか?人々から愛されているかどうかですよ。だから僕らが作るものは、長く愛されるようなものを作ろうよというのが原点なんです。数年前の出来事ですが、こんなことがありました。うちの手すりと階段をつけたお客様の家が火事になってしまいました。ほぼ全焼です。 ところがそのお客様から、保険でもう一回家を建てるので、すごく気に入っていた手すりと階段を再塗装してくれと依頼がありました。
施工した時の記録は残っているからそれを見ながら「ああ、昔はこんな仕様だったんだな」と思い返しながら、再塗装して納品しました。うちのようにデザインにこだわっている会社は他にも何社かはありますよ。 他社が全くやっていなくて、うちだけがやっていることでもありません。ただ、理念を掲げてやっているかどうかの違いです。 経営理念にも、美しく快適な空間づくりをめざすといった内容を掲げていますから。
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バブルが終わりかけの頃だから、私が27歳かそこらの時です。
中小企業はいつも人手不足ですが、バブルの時は特にそれが顕著で、まだ若かった私のところにどんどん仕事が集まってくるのです。で、上司や先輩たちは接待だ、なんだと言いながら会社を出ていき、夜中まで仕事をしているのは私一人だけ。どう考えたって人手不足なんで、解消するために人材採用に関わったわけですよ。
ところが学生はちっとも集まらない。会社案内もダサいし商品を並べたって……。採用の仕方が全く分かりませんでした。当時は今のような就職サイトも無かった時代でしたから。会社説明会を1日開いても、来る学生の数は3人とかです。
説明会をやれば自分の仕事が1日遅れますが1日遅れてもいいから、とにかく人が欲しかったけど、結果は出なかった。そんな過去の苦い経験が今の採用活動に繋がっています。 会社を魅力的に魅せるのは誰がやるのか、と考えたときに、それは社長自らが発信するべきだと思います。 会社のことを理解しきれていない若手とか、白髪混じりの総務部長のような人の話を聞いても面白くないでしょ?そんなことをやるんだったら50人を集めて社長が1発インパクトあることを言った方が断然早い。 軍隊で言うと社長は司令官。優秀な兵士を集めること以上に重要なことってあるの?と聞きたいぐらいですね。
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ベトナムへ進出しました。2015年6月からは工場の稼働を開始しました。理想はベトナム国内で売れたらいいと思うのですが、それには現地で営業マンを雇わなければいけません。
製造部門と販売部門の両方を一気にやるのは難しいので、順番に進めてまずは製造部門を固めて、第一段階は日本に輸出するために動かします。 日本で階段を製造すれば、機械加工・溶接・塗装という工程を踏んで全原価の6・7割が人件費となりますが、同じ工程でもベトナムなら人件費は日本の半分以下。すると売値も下げられます。
うちの階段は平均80〜90万円ですが、もうちょっと安かったら買うのにな、というお客様まで広げていくことが可能になります。ただしベトナムで製造するので納期はかかりますが。階段の99%は木製です。残りの1%の中で鉄骨階段メーカーのトップである、うちのシェアはわずか0.3%。
お金はそんなに出せないけど、もうちょっと階段のデザインをなんとかしたいと考えている人たちに、手を差し伸べられるんじゃないかと思っています。
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昔ながらの和室は壁が少なく、部屋は柱とふすま、障子で仕切られています。ところが戦後、間違った欧米文化が日本に輸入され、個室だとかプライバシーの尊重とか言い出した頃からおかしくなったのです。
昔ながらの家なら、ふすまや障子の間からもれる光や音から人の気配を感じることができました。しかし、いまの家の多くは玄関のすぐ横に階段があり、1階には父親と母親がいて、子どもは外から帰っても親と顔を合わせることなく、2階の子供部屋へ入っていってしまう。
結果、一緒に暮らす家族でもお互いが何をしているかわからず、互いの関心も薄れているのではないでしょうか。最近の日本は少年犯罪の増加や家族間のコミュニケーション不足、夫婦の離婚率増加など様々な問題がありますが、その原因のひとつはこうした文化の欧米化と住居に問題があると私は考えます。日本の狭い土地に家を建てるには、そうせざるを得ない事情があるのも分かります。 それならば家族が集まるリビングに調和するデザインの手すりと階段を取り付けることで、子どもたちはそこを通る。自然とコミュニケーションが生まれるはずなのです。 この考えは決して絵空事ではありません。 同じようなことを考え、研究している学者の先生もいます。
カツデンは単なる製造メーカーで終わることなく、製品を通して少しでも社会の役に立つ企業でありたいのです。