カツデンアーキテック株式会社

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KDATブログ

2019.11.19 商品開発

デザイン性に優れた競技用フェンスを製作したら、チームワークの大切さを再認識した話

はじめまして、設計部の松原です。

カツデンアーキテックでは、トライアスロン用のフェンスを製作し、間接的ながらも2020年の東京五輪に関わることができました。
「トライアスロンのフェンスって何?」
「そもそもトライアスロンって何?」
という方もいると思うので、そこから説明をはじめます。

トライアスロンとは

1974年、アメリカ・カリフォルニア州サンディエゴで誕生し、水泳(スイム)・自転車(バイク)・ランニング(ラン)の3種目を連続して行うことから、ラテン語の“3″と”競技”という意味を組み合わせてトライアスロンとなりました。
「トライアスロン連合-トライアスロンとは」より要約

競技の種類によって、それぞれの種目の距離は異なりますが、「Olympic Distance」では、以下の規格となっています。
スイム:1.5km
バイク:40km
ラン :10km

これだけ見てもかなり過酷な競技です。
運動不足の私なら、スイム1.5kmだけでもやり切れるか不安なところ・・・

フェンスを受注するに至った経緯

2014年のある日、日本トライアスロン連合(JTU)の方からの電話がありました。

JTU  「カツデンアーキテックでフェンスを作っていますよね?」
カツデン「手すりは作ってますけど、フェンスは作っていませんね。」
JTU  「似たようなものだから、協力してくれませんか?」

簡単に要約すると上記のような会話だったそうです。
JTUとしては現在のフェンスが古くなってきたタイミングで、元々あった機能に加え、新たな機能を反映させたものを求められました。

[もともとあった機能]
・バナーを張れる
・連結できる
・のぼりを立てられる

我々が依頼された時点で使用されていたものが下記の写真のものです。

会場設営時にこれを人力で並べていくのですが、30kgほどの重さがあるため、1人で持ち上げられず、余計に人員を投入しなければなりませんでした。

[新たに求められた機能]
・現状より軽い
・人が寄りかかったり接触しても倒れにくい
・積載効率が良い
・子どもが間をすり抜けられない

さらにカツデンアーキテックがやるからにはデザインにも配慮したいと考えました。
「トライアスロン 国際大会」と検索して出てくる画像のフェンスを片っ端から見ていき、バナー面が斜めになっているものを見つけ、それを参考にしながらAlegre Designへデザインの依頼をしました。
スペインのプロダクトデザイナー集団であるAlegre Designは、当社ではアスレチックシリーズやD-NA、NeconoMaなど、数多くの製品を形にしてきています。
初回提案の納期が短めだったこともあり、フェンスのデザイン経験はなかったようですが、信頼できるパートナーと組むことに決めました。

デザインは問題ないものの・・・

Alegre Designに上記の要件を投げたところ、2週間ほどでいくつかの案が出てきました。
以下のイラストはそのうちの一部です。

デザイン自体は良いものの、以下の点が課題として残り、それを解決するデザインが求められました。
・「積載効率が良い」の定義が明確ではなかった
 →フレーム部分の厚みと大きさの中で置ける形を目指す
・重すぎて運ぶのが大変そうなものと倒れやすそうなものがあった
 →重量と強度のバランスを取る
・材料費、加工費がかかりすぎる
 →機能として必要なデザインのみを残す

そこで新たに以下の案を出してもらい、それをベースにして進めていくことになりました。

これらの案を検討したことで、正面からフェンスの脚が見えない方がバナーが目に入りやすく美しくなることに気づき、その部分と積載効率はこちら側で作りながら考えることにして進めることになりました。

図面を形にする作業の苦難

要件をすべて満たすデザインというのは、当然設計も大変でしたが、思っていた以上に生産部が苦労することになりました。
社内で製作できない部品もあったため、一部を外注に出したものの、試作時には採算が取れるほどのスピードで作ることができなかったのです。
さらに積載効率を上げるため、フェンスの脚に切り欠きを入れる工程が発生したのですが、それが技術的にとても難しいことにも気づきました。

図面上では実現可能だと見込んでいても、実際に作ってみると難しいということは、ものづくりでは良くあります。
カツデン製品の中では、見た目上はシンプルで簡単そうなこのフェンスでも脚の切り欠きのようなことは他にも数多くありました。

それをひとつひとつ解決し、量産できる体制にまで持っていった生産部は自社のことながら見事という他ないです。
30年ほどの付き合いをしている外注先との信頼関係を構築して、できないものはお願いするというフロー作りであったり、生産スピードを上げるためのジグ(加工時に固定する器具)を考えて作ってみたり、専用の加工機械を選定し購入したりと、ここに書いてしまうと説明だけで読むのに1日かかるぐらいのことをわずか数日間で行いました。

試作をしてはフィードバックをもらってやり直すということを繰り返し、最後の使用確定時から1ヶ月で800枚という、とんでもない物量の生産を終え、ようやく完成となりました。

デザインと機能性を両立させたフェンス

競技用のフェンスをしっかり見たことがない方も、Before Afterで見比べたら分かるのではないでしょうか?

[Before]

[After]

カツデンアーキテックならではのミニマルデザインにより、構造を極力シンプルにしたことに加え、安定感とスタイリッシュさを兼ね備えたデザインになったことが分かります。

初案では満たせていなかった積載効率に関しては、苦労した脚に切り欠きを入れることによって、外側フレームのパイプ経の厚みですべてのパーツが収まるようになっています。

Alegre Designからのアイディア、カツデンアーキテックの設計と生産能力、そして外注先として協力してくれた業者それぞれが力を発揮して作り上げたプロダクトです。

2014年にスタートしてから約5年もかけて開発をしてきた過程には様々な困難があり、この場では語れないような問題がありました。
その面での精神的な苦労が一番に思い浮かぶプロジェクトだったものの、関わった人間は口を揃えて「みんなの力」で解決したことがワクワクしたと振り返ります。
多くのスポーツも「みんなの力」で乗り越えていくものも多く、表には見えないこんなところでも我々は違う角度で頑張っているんだよということを知ってもらえれば、今回の案件に関わったかいがあると思っています。

ちなみにカツデンアーキテックは、この件から日本トライアスロン連合のスポンサーにもなっています。
もし鉄人レースと呼ばれるこの競技に興味を持った方がいれば、国内外で様々なレースが開催されているので、ご覧ください。

また、この件をきっかけにカツデンアーキテックは、公益社団法人日本トライアスロン連合(JTU)のオフィシャルスポンサーとなりました
注目されつつあるこの競技を、わずかでもサポートできればと思っております。

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